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第九章 序 飛龍
今、私の中には、様々な感情がある。
それらはすべて人間が私に与え、そこから芽生えた私だけの『心』だった。
最初はたったひとつだけ。
一人の男から向けられた、初めての感情に気付いた時。
そして想いは、それからも次々と増えていった。
感情が生まれていくたびに、私の心は温かいもので満たされていく。
だが、そうするうちに私は、いつしか人間に対する『憧れ』のようなものを、今日胸中深く抱くようになっていた。
どうして人間は、あれほどまでにたくさんの感情を持っているのだろう。
どうして人間は、あんなにも生き生きと輝いているのだろう。
時が来れば尽きてしまう命を、真紅に燃やして。
どうして…ああ…どうして。
どうして私は…人間ではないのだろう。
それは私が初めて感じた『孤独』
神である私が、最も感じてはならない想い。
けれど私は気付いてしまった。自分がこの世でただ『独り』の存在であることを。
同族もなく、人と交わることもなく、子孫を残すことも、死ぬことでさえ許されない。
そう、私は永遠に『独り』なのだ。





