第二話 少しだけ未来の話
放課後の帰り道。
桜並木の下を、
月城伊織は一人で歩いていた。
さっきの出来事がまだ頭から離れない。
普通なら冗談だと思う。
でも、つむぎの表情はとても真剣だった。
伊織はため息をつく。
「……ありえないだろ。」
そう呟いたとき。
「ありえるよ」
後ろから声がした。
振り向くと、つむぎが立っていた。
「また急に話しかけてきたな」
「ごめん」
つむぎは少し笑う。
「でも、まだ信じてないでしょ?」
「そりゃね」
伊織は肩をすくめる。
「いきなり未来とか言われてもさ」
つむぎは少し考えてから言った。
「じゃあ、証明する」
「明日、体育の授業が雨で中止になって数学の小テストになります」
伊織は眉をひそめる。
「……え?」
つむぎは少しだけいたずらっぽく笑った。
「もし当たってたら、ちょっとだけ信じて」
伊織は呆れたように笑う。
「そんな偶然あるかな」
そのまま二人は並んで歩き始めた。
しばらく沈黙が続く。
やがて伊織が言った、
「なんで、俺に話したの?」
「あ、あそこのコンビニよろ!」
つむぎは慌てて言う。
「え、ああうん」
「あ、ほら伊織くんっていちごミルク好きでしょ」
伊織は驚いた顔をした。
(いちごミルクは女の子の飲み物だと思っていたから周りに言ったことないのに…)
「……なんで知ってるの」
つむぎは少しだけ得意そうに笑う。
「だから、未来から来たって言ってるでしょ」
「ちょっとだけ信じるかも」
つむぎは嬉しそうに笑った。




