第十一章75 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第8試合】35/理想像対決5
【師弟チーム】が【シェリア】の【理想像】を作り上げるのに苦悩していた様に、【呪いチーム】もまた、【フェアリア】の【理想像】を作り上げるのに苦悩していた。
【ネリー】は、
「【フェアリア様】を表現すると言う大役を仰せつかった訳だけど、果たして、私達の【呪具】でそれを表現できるのかしら?」
と言った。
【ローレッタ】は、
「たぶん、無理ね。
それは解ってる。
私達の力で【世界一の美少女】であるとされる【フェアリア様】を表現する事は出来ないわ。
私達は本物を見ていない。
本物の美を見ていないのよ。
だから、本物の美は表現出来ない。
それははじめから解って居る。
肝心なのは【師弟チーム】より上になると言う事。
向こうのチームはよりにもよって、【シェリア】と言う小娘を【フェアリア様】より美人だと思い込んでいると言う事。
それは思い上がりも甚だしい愚行だわ。
この勝負はその間違った認識を正す事。
その一点に尽きるわ。
ハッキリ言えば、【フェアリア様】の美しさを表現する必要はない。
なぜならば、私達がどう表現しようと【フェアリア様】の実際の美しさには遠く及ばない。
だって、彼女は世界一の美少女なのだから。
どう表現したって彼女の美しさには勝てないって事」
と言った。
【ネリー】が、
「じゃあ、どうするの?
負けたら、【フェアリア様】が一番じゃないって認めた事になるのよ。
絶対に負けられないのよ?」
と聞くと、【ローレッタ】は、
「解ってるわ。
だから、勝ちに行くわ。
よく考えて、【ネリー】。
この勝負は勝てれば良いの。
その勝負において、【フェアリア様】を出す必要はない。
だって【フェアリア様】は【世界一】で決まりだもの。
だから、私達は【フェアリア様】には劣るけど、【世界第二位】の美しさを表現すれば良いのよ。
【世界第二位】でもきっと【シェリア】って小娘よりも美しいはずだわ。
そうでしょ?」
と答えた。
【ネリー】は、
「そうね。
私達の大恩人を虚仮にするのは許さない。
だから、【フェアリア様】じゃなくて、【フェアリア様】に次ぐ美しさで勝つのね」
と言ったのだった。
こちらも【師弟チーム】に負けないだけの盲信ぶりである。