第十一章74 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第8試合】34/理想像対決4
【シェリア】と言う少女はどういった人物なのか?
その容姿だけでも、様々な意見が飛び交った。
とにかく、【シェリア】に会ったことの無いメンバー達は、
「シェリアって子は可愛い系か?
それとも美人系か?」
とか、
「シェリアにそっくりな芸能人とかっているのかな?
イメージしやすい感じでどれくらい似ているかとか?
文化人でも良いんだけど」
とか、
「写真とかないの?
それを見ればすぐにわかるんだけど?
会った時に撮らなかったの?」
とか聞いてきたが、【佳乃】と【翠詠】は、
「可愛くもあり美人でもある」
「彼女とそっくりな芸能人や文化人はいない。
女神と同じ容姿をした芸能人がいないのと同じじゃ」
「写真なんて畏れ多くて撮れなかったわ。
会ってお話させていただいただけでも光栄だったもの」
などと言って、質問に対して明確な答えとは言えない反応だった。
結局は、例えば、愛する妻や夫に死なれた配偶者が、どこまでも故人となった妻や夫を美化していくのと同様に、【佳乃】と【翠詠】は【シェリア】に対する強い憧れと偶像崇拝のイメージが膨れあがり、どこまでも強くなっていた。
結果として、【一人芝居】で【シェリア】を表現するのに、他のメンバーでは表現する事が出来ず、仕方なく、【佳乃】と【翠詠】がお手本をやるのだが、
【佳乃】がやった【一人芝居】に対して、【翠詠】は、
「そうではなかろう。
それでは彼女の魅力を表現しているとは言えんと思うぞ」
と言い、【翠詠】がやった【一人芝居】に対して、【佳乃】は、
「バカにしてるの?
お爺ちゃん。
彼女はそんなに醜くない。
もっと綺麗な存在よ。
馬鹿にするのも程があるわ」
と言う様にお互いがお互いの【一人芝居】を否定しあった。
結局、【理想像】としての【シェリア像】で納得の行く【一人芝居】は、誰も出来ずに断念と言う事になり、【師弟チーム】としては何も提示出来なかったと言う結果になった。
結果こそは出せなかったが、【師弟チーム】にとっては、最も楽しく、興奮した試合になったと言うのは事実である。