第十一章7 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第7試合】4/【宇宙人魚チーム】の危機感1
意外に思われるかも知れないが、この第7試合の2チームはどちらも人外でメンバーが構成されているチームであり、人を大きく超える力を持っている。
だが、実際は人よりも臆病なチームであると言えるのだ。
人は弱いが圧倒的な数がある。
言い方は悪いが、多少、死亡してもまだたくさんいるのだ。
それに対して、人外というのは非常に数が少ない。
圧倒的な脅威に蹂躙されてしまえばあっという間に滅んでしまう可能性を常に持っているのだ。
それに強いと言う事はそれよりも強い存在を認識する知識を持っていると言う事でもある。
強者は更なる強者を知ると言う事である。
人間の様な弱者は弱いからこそ、ちょっとした力を手にして増長し、暴走するのだ。
本当に力ある存在は力を持っているからこそ、更なる力を恐れ、臆病な性格になっているのである。
また、圧倒的な数は力でもある。
力は暴力を生み、迫害も生む。。
【宇宙人魚チーム】はそうやって迫害されてきたチームだった。
【宇宙人】や【モンスター】は、【人間目線】で言うと、討伐対象となりやすい。
討伐に出てくるのは、【勇者】や【英雄】である。
【勇者】や【英雄】達は、弱者の気持ちを込み、強者たる【魔王】を討伐し、【モンスター】はその配下として位置づけられている。
そのため、【魔王】と全く同じ位置づけではないが、【覇権】を握って統治する【覇王】とは敵対関係にある。
【勇者】や【英雄】のふりをして、迫害をしてきた紛い物達によって【宇宙人】や【モンスター】は苦痛や苦労を深く感じており、彼ら彼女らが【勇者】や【英雄】を目指そうとは思わない。
彼等彼女等がこの世の覇権を握る事が出来るとされる【覇王】を目指す事になるのはごく自然な成り行きだった。
だが、【覇王】とて【完全な安住の地】とはなり得ない事も理解している。
終わりは無いと理解している。
力を持った者は更なる力の脅威にさらされる。
この世は弱肉強食。
弱い者は強い者の糧になる運命にある。
それは闇の世界に生きるものとして納得はしている事である。
そして、【魔王】よりも現実では【覇王】と言う言葉で代用されている様に、【勇者】や【英雄】も別の言葉で代用されている。
それが、【グローリー・スターダム/(略語)グロスタ/栄光スター地位/栄光主人公/(略語)栄光主】と呼ばれている存在達である。
【栄光主】は時には【覇王】を倒す挑戦者として【覇王】の座を脅かす存在として存在している。
【栄光主】達は、【覇王】を倒す事も出来る技能を持っていると言う事である。
【宇宙人人魚チーム】はその脅威を知っていた。