第十一章56 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第8試合】16/恩人【ネリー】&【ローレッタ】×【フェアリア】3
【ネリー】と【ローレッタ】にとって、【フェアリア】とは絶対の存在である。
彼女が【選ばれし者】として、【覇王杯/オーバーロード・カップ】に参加出来ると知った2人が思った事。
それはまずは、彼女に付き従いたいと言う気持ちである。
だが、自分達は呪われて居る。
そのせいで、多くの者から嫌われて来た。
【フェアリア】に【アブソルート・デモネス(絶対女悪魔)】と言う悪名を付けてしまったのは自分達である。
それは恩を仇で返してしまったのと同じ意味だ。
それは詫びても詫びきれない事である。
だから、同じチームとしては戦えない。
だったら、どうすれば良いか?
そうだ、【フェアリア】とは別チームとしてこの戦いに参加しよう。
そして、見事、優勝したあかつきには、【覇王】としての権利を【フェアリア】に献上しようじゃないか。
そう言うつもりで参加しているのである。
つまり、【師弟チーム】同様に、この【呪いチーム】もまた、優勝するつもりはあったとしても【覇王】になるつもりはない。
【覇王】になるべきは【フェアリア】であり、自分達では無いと思っているのである。
だから、この両チームの戦いはお互いに【覇王】になるつもりの無い者同士が戦っていると言うことになる。
だからと言ってバカにする事は出来ない。
【師弟チーム】の【シェリア】に対する強い【憧れ】もそうだし、
【呪いチーム】の【フェアリア】に対する【恩返し】もそうである。
強い思いは時として強い力、強い結果をもたらす。
そう言う意味では決して他の【試合】のチームに見劣りするものではないと言えるだろう。
ちなみに、【ネリー】と【ローレッタ】は、その【亡霊】や【呪い】の力を利用して、世界中に散らばっている【フェアリア】の【芸術作品】の保護活動を主に行っている。
彼女達にとって、【フェアリア】のする事が全てである。
彼女無くして、自分達は居ないと考えており、例え、自分を犠牲にしてでも【フェアリア】の幸せを考える。
ただし、近づけば、不幸を押しつける事になるから、遠くで見守る。
そう言ったタイプの【推し活】をしている者達と言えるだろう。
遠くで見守っているからこそ、【フェアリア】が母親から暴力をふるわれていた事にも気付く事は出来なかった。
結果として、【芳一】が【フェアリア】が抱えていた【鬼になった母親】との間を取り持ち彼女の闇を少し祓ったのだが、【ネリー】と【ローレッタ】はその事実を知らない。
遠くで思っているだけの存在である。
そのため、【フェアリア】の【主人格】が結構残念な性格をしているという事実も知らない。
噂では世界一の美しさを持った超絶美少女だと言う事くらいしか知らないのである。
恐れ多すぎて会ったことは無いが、【フェアリア】を神の様に崇めているのである。