第十一章52 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第8試合】12/憧れ【佳乃】&【翠詠】×【シェリア】3
【佳乃】は、目をぱちくりした驚いた。
憧れて病まない、【クリエ・イター】こと【シェリア】に逢えたから?
それもあるだろう。
だが、女好きの欲望が服を着て歩いている様な祖父の【翠詠】が【佳乃】の言った通り、【クリエ・イター】/【シェリア】にエッチな事をしなかったからだ。
青天の霹靂とでも言うべきなのか?
とにかく、その状況が信じられなかった。
【翠詠】は、
「おぉぉぉぉぉぉぉ・・・
め、【女神様】じゃぁぁぁぁ・・・
【女神様】がご降臨なされた・・・
ありがたや・・・ありがたや・・・ありがたや・・・ありがたや・・・ありがたや・・・ありがたや・・・ありがたや・・・ありがたや・・・ありがたや・・・ありがたや・・・ありがたや・・・ありがたや・・・」
とつぶやきだしたのだ。
確かに、【シェリア】の美しさは人間離れしていると言っても過言ではない。
そのせいで、彼女はレイプされそうになった事が数百回もあるのだ。
殺されそうにもなっていたため、彼女は身を隠す事を余儀なくされているのである。
だから、美しいのは当たり前なのだが、【翠詠】の中の本心が、彼女は自分の邪な気持ちで穢してはならないと直感で思ったのだと言う。
なので借りてきた猫の様に、【翠詠】は大人しくなり、優しい祖父を演じ始めたのだ。
とにかく、【シェリア】の前では良いおじいちゃんと言う印象を崩したくない。
その気持ちが【佳乃】にもビンビン伝わって来て、
「あんた誰?」
と突っ込みたくなるくらい、【翠詠】の印象は180度変わっていた。
だが、【シェリア】が求めていたのは、そんな生真面目な【翠詠】ではない。
はっちゃけた演技をし、滑稽な好々爺を演じる演技力。
それを見たかったのだ。
真面目一辺倒の姿を見たい訳ではない。
なので、彼女が少し残念そうな表情になっているのがうかがえた。
【佳乃】は、
(まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい・・・
【クリエ・イター】さんはつまらないと思っていらっしゃる。
絶対、そう思ってる。
まずい、どうしたら良いの?
何か?何か彼女を楽しませるものを・・・
何か・・・)
と内心焦りまくっていた。
そんな時、【シェリア】は、
「実は、ニッポンの恋愛について少し知りたい・・・思ってます。
何か、参考になるもの・・・ないですか?」
と聞いた。
そこで、彼女はこれで笑いを取ろうと思って、暴走する。