第十一章49 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第8試合】9/呪いチームの作戦タイム2
【呪いチーム】の【呪具】は彼女達が率先的に作り出した物ではない。
【亡霊】や【呪い】を異様に、そして異常に惹きつける彼女達に魅せられて集まって来た【アイテム】などが【選ばれし者】に選抜されるまでに膨れあがったのだ。
だが、中には、彼女達が自分で、【呪い】などを惹きつけるために作り出した物もある。
なぜならば彼女達が作った物イコール呪いを多く含んだものに変わるからだ。
だから、彼女達は【呪い】のアイテムを作りたい放題でもある。
そして【類は友を呼ぶ】と言う通り、【呪いのアイテム】が多くある所には他の【呪い】や【呪いのアイテム】、【亡霊】などが多く集まる。
【ネリー】と【ローレッタ】は、【翠詠】に対して、
「「きもっ」」
と言ったが、この言葉は彼女達にとっては必ずしも侮蔑の言葉とは限らない。
「きも」
とか、
「気持ち悪い」
とか、
「怖い」
などの言葉は、数多の【亡霊】や【呪い】に取り憑かれている彼女達が日常的に受けてきた言葉だからだ。
余りにも日常的にその言葉を受けすぎて来た彼女達にとって、【気持ち悪い】と言う言葉は普通に使う言葉であり、意味合いこそ違えど、【翠詠】に対する【気持ち悪い】と言うのは嫌悪感を示すものではない。
むしろ、一定の共感さえ覚える物だった。
彼女達にしてみれば、違ったジャンルの【気持ち悪い】と言う【ブランド】を知ったと言う感じが正しい反応と言えるだろうか?
逆に、色気を振りまいている【佳乃】に対しての方が共感出来ない事も多いだろう。
【佳乃】は多くの者から慕われ、明るい人生を歩んできた。
【ネリー】と【ローレッタ】は多くの者から怖がられ、蔑まれ、暗い人生を歩んできた。
その多くの違いは、仲良くなるには余りにも大きな隔たりがあると言える。
それよりは、
「エロジジイ」
「スケベじいさん」
「破廉恥」
「色欲魔」
などと言われ続け、孫娘にも、
「いい加減にしろ、この色ボケクソジジイ。
今度やったら、ご飯抜きだからね」
などと言われている【翠詠】への方が好感が持てるのである。
社交的な方が必ずしも共感を持たれる訳ではない。
これはそう言う話である。
【ネリー】は、
「うふふっうふふっうふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
と笑い、【ローレッタ】も、それに呼応するかの様に、
「うふふっうふふっうふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
と笑った。
これを理解される事は珍しい。
大概は不気味で気持ち悪いと評される。
このチームの雰囲気としてはこんな感じだろう。




