第十一章46 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第8試合】6/師弟チームの作戦タイム1
まずは、【師弟チーム】の作戦タイムを覗いてみよう。
【師弟チーム】の【特別な作品】は、【13作の一人芝居】である。
この【作品】の他のチームの作品には見られない大きな特徴としては、【決まった形】が無いと言う事が挙げられる。
例えば、【芳一】の【小説】だった場合、【内容】を文字に起こして表現するため、【ストーリー】が決まっている。
【能活】の【アニメーション】や【神宮姉妹】の【漫画】なども決まった形が存在する。
だが、この【一人芝居】は【舞台】の様なものである。
【舞台】では何回やっても【全く一緒】の展開という事にはならない。
【役者】が物語に毎回、息を吹き込むため、同じテーマであっても別の日にやったものは何かしら異なる事を演じている。
その中には演技ミスと言うのもあるだろう。
だが、その失敗を含めて全てが演技なのだ。
そう言った、作り物には無い、生きた作品。
それが【舞台】であり、【一人芝居】なのである。
【舞台】と【一人芝居】の大きな違いは演者の数が上げられる。
前者は複数名、後者はたった一人である。
そう。
たった一人で全ての事柄を表現しなくてはならない。
同じ様なもので言えば、【落語】や【狂言】、【講談】などがある。
だが、【落語】などとの違いは、【一人芝居】の場合、全身を使って表現する事にある。
座ったままではないのだ。
チームを組んでいるが、作っている作品は全て、【一人芝居】である。
つまり、一人で全てを担わなければならないと言うことである。
また、【一人芝居】は生きているため、外の現状を取り入れて【演技】に加える場合もある。
例えば、ふいに客席で【赤ちゃんの鳴き声】が聞こえた時、その声を利用して、
「おや?
どこかで赤子の泣き声がする・・・
これは幻覚か?」
と言うように演技に取り入れたりもするのだ。
何が言いたいかと言うと、この【一人芝居】と言う【作品】は【他の作品】の【要素】を取り入れる事にも【特化】したものなのである。
そう言う点で言えば、【異質】な才能であると言えるのかも知れない。
だがそれを言ってしまえば、全ての【選ばれし者】が何かしらの【異質性】を持っていると言えるだろう。
みんな【唯一無二】の【特別な才能】を評価されてこの場に居るのだから。
それだけは忘れてはならない。