第十一章12 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第7試合】9/バトル方式2
【覇王杯/オーバーロード・カップ】1回戦第7試合に【栄光高主第千席】の【高宮 新八】と名乗る者が乱入してきた。
【新八】は、
「お前等、これから試合する予定だったんだろ?
だったら、その相手、俺様達がしてやんよ。
俺達は、【栄光高主第千席】から脱却したいんだ。
その他大勢の1人になんてなってられるかって話だ。
ここに俺と共に来た連中は全員、【第千席】なんだよ。
【第千席】から上位の【席次】になるにはよぉ~、
手柄ってやつが必要不可欠なんだ。
って訳で俺達とお前等に利害関係が成立するって訳だ。
俺達はお前等をぶっ殺して、手柄を立てたい。
お前等もどうせ、俺達にボコボコにされてきたって歴史があんだろ?
ムカツクもん同士、潰し合おうぜ。
って言ってもお前等は敵チーム同士なんだろ?
じゃあ、共闘って訳にもいかねぇよな?
んじゃ、こうしたらどうだ?
俺達と戦って生き残った方が次のステージに勝ち残れるってのは?
俺達も片方のチームを殲滅したら残った方のチームは見のがしてやんよ。
(まぁ・・・嘘だけどな・・・)
それでやらねぇか?
(ぶわぁ~か共が・・・お前等は俺達の実力を上げるための踏み台なんだよ。
せいぜい、希望を抱いて抵抗して見せろや、クソボケが)
いい話だと思うぜぇ~」
と言った。
【正義の味方】が聞いて呆れる様な自分勝手な申し出だった。
なぜ、これほどやさぐれた思考を持っているのか?
それは、【栄光主】とは【真】の【勇者】や【英雄】では無いからだ。
そもそも、本当の【正義の味方】とはその行為をひけらかすものではない。
基本的には【無名】なのだ。
人知れず、善行をするから、それが密かに噂となり、伝説となり残る物である。
自分はこういう凄い事をやったと主張する者は【本物】では無いと言う事だ。
【本物】では無いが、【本物】がどういったものか?知っているからこそ、それを真似たもので、本来受けるべき【威光】をかすめ取っている。
そう言う連中が多いのも事実である。
【栄光主】の【席次】である、
【第0席】の【殿堂位席】、
【第1席】から【第9席】の【主体位席】、
【第10席】から【第20席】の【次体位席】、
【第21席】から【第100席】の【従体位席】、
【第101席】から【第999席】の【底体位席】、
とは【本物】を真似たものである。
【本物】の【勇者】や【英雄】は丁度1000名おり、それを自分達で、【ネームレス・ナンバー・ジャスティス/無名番号正義】と呼称している。
この者達は連絡を取る時に自分の名前が無いと不便だとして名前では無く、【0番】から【999番】の番号で言い合っている事から、【ネームレス・ナンバー・ジャスティス】と呼んでいる。
【ネームレス・ナンバー・ジャスティス/NNJ】は、古典的な言葉である、
「名乗る程の者では無い」
を実戦体現している者達である。
権力や金などには固執せず、自分達の正義を実行する事に生きる意味を感じ、これらは【襲名制】をとっている。
つまり、例えば、【100番】が引退したら、自分の代わりとなる【100番】を用意してから消えると言う事である。
正に見本、手本とすべき【善行の化身】である。
【栄光主】を目指す者は、その栄光への欲がある事からこの【NNJ】にはなれない事実を突きつけられて居るのだ。
【栄光主】が束になっても【NNJ】の最下級とされる【999番】の足下にも及ばない実力差があるとされている。
だからこそ、【新八】は、自分の正義が絶対では無いと知り、ふてくされているのである。