フェンリル様、感謝永遠に
ブゥゥウウウウン!
ドカン!
人生28年、短い人生だった。あぁ、恋愛の一つぐらいしとけばよかった、、、
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『はい次の方〜』
急にぽつんと扉が一つだけある真っ白な場所に来た
何やら女性の声が扉の向こうから聞こえてくる
扉の裏側は、、、壁も何も無い。とりあえず何もすることないし開けてみるか
ガチャンッ
『はじめまして!えーっと、、、〇〇さん28年間お疲れ様でした!私わたくしこういうものでして、、、』
ドアを開けると、そこには頭に輪っかが乗っている金髪の女性が資料が山積みされているディスクに座っていた。そして、渡された名刺には、、、
「《冥界/転生部 20歳〜30歳担当 リンネ・エンジェル》?私は死んだんですか?」
『えーっとぉ、2〇〇〇年8月4日の22時34分09秒にぃ、、、仕事帰りに夕食をコンビニで買われた帰り道に居眠り運転のトラックに轢かれて、その後にもう一度トラックの後ろから来た軽自動車にはねられ、その勢いのまま電柱に頭を強打してお亡くなりになられました』
リンネさんは私の方を『ムフー!』私の方を自慢げに見て、満足している様子だった
「は、はぁ、、、それで、私はこれからどうなるのですか?」
『えぇ〜、、、それにつきましてはこちらの映像をご覧になられればすべてわかります!』
リンネさんは大量の資料の隙間からバサァ!と音を立て、タッチパネルを私の前に出してきた
再生ボタンが表示されているので早速押して動画を見てみる
題名は『アズラーイールが教える!五分で分る!転生のすべて!』
『テレテレ〜!は〜い皆さんはじめまして〜!死をつかさどる天使の「アズラーイール」だよ!今回はこれから転生する皆のために、なんと五分ですべてわかっちゃう解説動画を作ったよ〜!』
軽快な音楽とともに、大きな布で全身を隠したアズラーイールという天使が登場した
そこからアズラーイールの解説動画は5分18秒続き、転生までの流れをだいたい把握することができた
『ではではでは!〇〇さん!これからどこに転生されますか?』
どうやら私は転生という選択肢しか残されておらず、これからどの星に転生するのかを迫られている
リンネさんは資料を一枚取り出して私に見せた
「う〜ん、、、このヴァルキャバって星はどういった星なんですか?」
『ヴァルキャバはですねぇ、、、うーんと、ここらへんにぃ、、、あった!』
リンネさんは先程の資料よりも少し汚い資料を渡してきた
資料にはこう書かれていた
ーーーーー
危険!
転生後一分以内死亡率80%!
ファイズという巨人族が生物の70%をしめる星。ファイズは雑食なので目に入るものはすべて食べてしまう。また・・・
ーーーーー
この資料にはまだまだ続きがあったが、これ以上読んでも良い方向に進むことはないだろう
「ほ、他のところにさせていただきます」
『全然大丈夫ですよ〜。あ、そうだ!〇〇さんこの星とかどうですか?」
リンネさんは思い出したかのように一つの星を指さしてそう言った
「ワ・ル・ス・ですか?この星は一体どういった場所なんですか?」
『えーっとですねぇ、、、どこにあったかなぁ、ここかなぁ、いや違うなぁっと、、、あった!』
またもやリンネさんは大きな音を立てて一枚の資料を目の前に出してきた。
資料の内容はこうだ。
ーーーーー
転生者満足度99%!
今ならなんと転生特典が3つもついてくる!
人類0.01%
その他99.99%
中世ヨーロッパ風の星!アニメや漫画のような魔法が使える地球ではファンタジーな世界!
その他の生物には・・・
ーーーーー
「あ、怪しい、、、」
『だ、大丈夫ですよぅ〜!そ、それにほら!なんと特典が、それも3つもついてくるのはこの星だけですよぉ〜?」
「、、、うーん」
正直言って良いところしか書いていないのが引っかかるが、、、
「特典っていうのはどういったものなんですか?」
『はい!〇〇さんが求める転生先での能力3つのことです!」
「具体的には?」
『この星で例えるなら、、、「魔法が使える体に転生したい」「鑑定眼がほしい」などの、星のパワーバランスを確実に崩す「無敵」「不老不死」といったの能力以外なら何でも大丈夫ですよ』
「ほほう」
私もそれなりにゲームや漫画、アニメなどを通して魔法が使える世界へのあこがれは人並みにはあるので、このリンネさんの言葉は非常に魅力的なものだった。
「けど、なんでここまで特典をつけてまで人を募集してるんですか?」
『ギクッ!』
「ここまで聞くと非常に魅力的な星ですが」
『そ、それはですね、、、う、ううぅ、、、』
リンネさんが段々と涙目になってくる。
女性を泣かせるのは男として阻止せねばならない
「だ、大丈夫ですよ!私この星に決めましたから!」
『本当ですか!』
「い、言ってしまったぁ、、、」
ん?さっきまで泣きかけてたよなこの人
という疑問は心のなかにしまっておこう
『では、早速手続きの方を、、、』
そこからはトントン拍子で様々な資料へのサインが済んでいき、ついに3つの特典を考える所まで来た
『では、この3つの枠にそれぞれ考えた能力をお書きください』
用意された紙をを見つめ、様々なことを考えていく
そして、いくつか質問する事項を考えた
「質問いいですか?」
『はい大丈夫ですよ。お答えできる範囲だけですけど』
最後の言葉コワ
「ありがとうございます。では1つ目、転生先の言語は私は理解できますか?2つ目、前世の記憶は引き継がれますか?」
『1つ目、yes。2つ目、no。です』
「では、能力の一つを前世の記憶保持にすることはできますか?」
『可能です』
「なふほど、、、」
リンネさんが答えた感じだと、転生先の言語はすぐに理解できると見ていいだろう
しかし、前世の記憶は自動では引き継がれない。か
「じゃあ1つ目は前世の記憶保持だな」
『一度書かれた内容は書き直しができませんがよろしいですか?』
「いけます」
私は項目の一番上に「前世の記憶保持」と書いた
残るは2つか、、、
「よし、2つ目は鑑定眼にします」
『いい選択ですね!転生される方の大半に鑑定眼は最初に進めるぐらいですから』
「鑑定眼、、、っと」
リンネさんお墨付きの鑑定眼を書いたところで残り1枠になった
残り一枠と考えると今まで以上に悩んでしまう
「う〜ん、、、」
『お悩みのようでしたら、戦闘系の特典をお選びになられてもよいかと思います』
「戦闘系?ですか」
『例えば、先程例にも上げましたが「魔法が使える体」や「高い身体能力」などなど』
「戦闘系かぁ、、、」
『「別に魔法を使える体」を特典として選ばなくても、ランダムですが転生先が魔法が使える体になる可能性はありますよ。特典というのは確実に能力を1つ手に入れるものに過ぎませんので』
いやいや、過ぎなくないですよ。十分すぎますよ
「じゃぁ、、、最後の特典は、高い身体能力にします」
『ほぉ〜、大半の人は「魔法が使える体」にするんですけどねぇ』
「魔法は、来世の自分にかけてみたいと思います」
『ふふふ、面白い方ですね!では、すべての項目に望む特典を書かれましたか?』
「はい。書き終わりました」
リンネさんに書き終わった紙を渡す
渡された紙を今まで以上に注意深く見たリンネさんはすぐに顔を緩めた
『はい!確認いたしましたので、そろそろ転生に移りたいと思います。準備はよろしいですか?』
「、、、大丈夫です」
『では、こちらの水晶に手をかざしてください。かざした直後から転生は始まります』
ふー、もう転生か
この真っ白な世界ともお別れだな
「じゃあ、よろしくお願いします」
そういって俺は水晶に手をかざした
『来世、楽しんでください〇〇さん』
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キュゥウン!キュゥウン!
『おぉ!カーラよくやった!雄だぞ!』
『はぁ、はぁ、ちょっと疲れたわ、、、』
『あぁフェンリル様、、、ありがとうございます。ありがとうございます』
な、なんだ。この色々とツッコミ甲斐がある会話は
目が、目が開けれない
キュゥウン!キュゥウン!
『なんて愛おしいのかしら、、、』
『こいつの名前を決めたぞ!トムだ!どうだカーラ、いい名前だろう?』
『、、、冗談でしょ?』
『あ、あぁ!ハハハ!冗談に決まってるじゃないかぁ!それで、カーラはどんな名前がいいんだ?』
『そんなに焦らなくても、そのうちいい名前が思いつくわよ。少なくともトムよりはね』
『い、一ヶ月考えた名前なんだけどなぁ、、、』
どうやら俺は普通の家庭に生まれたようだな
よかったよかった
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ていや、なんじゃこれ
『どうしたアル?お前の好きなユニコーンの肉だぞ?』
『たまにアルって固まって動かなくなるわよねぇ』
なんと俺の転生先は、、、ホワイトウルフの子供だったのだ
それもどうやら俺の父と母は近くの山々全体を支配するホワイトウルフだったのだ
『ほら、父さんのもやるからしっかり食うんだぞ』
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(種族) ホワイトウルフ
(名前) ジャック
(性別) 雄
(年齢) 49
(強さ) B級
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『ほら、お母さんの分も上げるから』
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(種族) ホワイトウルフ
(名前) カーラ
(性別) 雌
(年齢) 34
(強さ) B級
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リンネさん。あなたが喋りたがらなかった理由ってこのことですよね
転生先が人外だってことですよね
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