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生意気な後輩

教室に荷物を下ろし屋上へと向かう。


「___________ギリギリまでここで時間を潰そう。」


そしてごろんと寝転がり、ホームルームまでの時間を潰そうと思う。


(あのまま教室にいるとデレナと鉢合わせするからなぁ......暫くは一定の距離管理が必要だ。)


雲を眺めながら、溜め息をつく。



『______________銀城、先輩?』



屋上のドアがゆっくり開き、声が聞こえてくる。直ぐに立ち上がり、臨戦態勢に移る。


「.............君は」


が直ぐに警戒を解いた。屋上に迷い込んで来たのはハーレムヒロインズの一人、猫屋敷仔猫だったのだ。


「猫屋敷さんか。どうしたの、こんなところで?」


彼女とは別段仲が良いというわけではないが、面林関係で挨拶程度はする程度の校友関係である。


「銀城先輩こそこんなに朝早くから屋上で何をしてるんですか。」

「生徒会特権。本当は関係者以外は入ったらダメなんだよ、猫屋敷後輩。」


屋上の鍵を見せびらかすように猫屋敷に見せ付ける。


「ズルいです、先輩。」


再び寝転がると猫屋敷は自分の隣に同じく寝転がった。何故に。


「先輩はいつも、こんな朝から屋上にいるんですか?」

「いつもって訳じゃないけど、基本はそうだね。風は気持ちいいし、朝日が綺麗なんだ。」


微笑を浮かべながら猫屋敷さんへとそう語る。


「..........仔猫も来ていいですか。」

「え?いやだよ。」


即答でそう答えると頬を膨らましポカポカと叩いてくる。可愛いの一言に尽きるが、そのムーブは面林にした方がいいとは思う。


「_______________あはは、冗談。好きにするといい。」


猫屋敷はそう言うと嬉しそうな表情を見せる。そしてどや顔を見せ始め、自分語りを始めた。


「仔猫、水泳部なんです。」

「知ってる。」

「仔猫、可愛いです。」

「可愛い可愛いー」

「仔猫、結構人気があるんです。」

「人気だねー」

「仔猫、今月だけでも十件以上は告白されました。」

「おー。」


今月に入ってから五日目だ。それ即ち、毎二以上の告白を受けている事になる。流石は学園四大美少女の一角だ。


「___________モテル先輩ってゲイなんですか?」


まぁ、あれだけの美少女に囲まれて何の進展もないのだからそう疑ってもしょうがないだろう。


「僕は当人じゃないから真実は分からないけど、モテルに聞いて見たらいいんじゃないかな?」

「そんなこと聞ける訳ないじゃないですか!なんか今日の銀城先輩、少しって言うかかなり適当過ぎじゃないですか?」


この時間帯は個人のプライベートタイムなのだ。それを邪魔されているのだから多少は仕方ないだろう。24時間、好青年を演じてられる程、自分は完璧超人ではない。


「ひ、ひゃいです、しぇんぱい!」


猫屋敷の頬をつまみ、軽く引っ張る。そして離すと、涙目で頬を擦り、キッと睨み付けてきた。


「先輩って.........実は意地悪なんですね。」

「朝一で生意気な後輩に秘密の寛ぎ場所の共有を強要されて、自慢話に勝手に付き合わされて、挙げ句の果てには先輩は適当だと面と向かって言われたらね。」

「あう.......そう言われると何も言い返せません。」


猫屋敷は立ち上がり、自分の隣にしゃがみこむ。そして至近距離で目を覗き込んできた。


「先輩って優しくて、平等で、聖人の様な人だって聞いてましたけど、キャラ作ってましたね?」

「猫屋敷さん、友達いないでしょ?」


この後輩には素の方が有効的だ。だから、彼女と同じ土俵で言葉を交わし、好意を面林からこっちに移るように誘導していかなければならない。


「あぐ...........痛いところをつきますね。」


ダメージを追い項垂れる猫屋敷。


「先輩の言う通り、こんな性格してますから嫌われやすいんです。」

「まぁ、そうだろうねとしか言い様がないね。直せばいいじゃないって言っても直さないだろうし、自分に合った人を見つければいいと思うよ。」

「だから手伝って下さい!ていうか銀城先輩がなってくれてもいいんですよ?仔猫、可愛いですし、お得です!」


猫屋敷は寝そべる自分の上へと跨がってきた。


「それこそモテルの出番でしょ。手伝って貰って好感度を上げるイベントになるんだから。て言うか降りろぉ!!!」

「ぐぐぐぐっ!!おりませんよぉ!!嬉しいでしょ!!こんな美少女に密着されてぇええええ!!!」


なんだこいつ......引っ付いて来て全く離れない。


「ぐっ、セクハラ!!」

「な、何がセクハラですかぁ!!こんなに可愛いのにぃ!逆に仔猫が大声を出してもいいんですよぉ!そしたら誰が加害者になるでしょーね!」


なんなんだ、このクソ後輩。そっちがその気ならこっちも手はあるんだ。各の違いを見せてやる。


「ぐぐぐっ!叫びたいなら勝手に叫べ!自分だけが特別だと思ってるようだけど、僕はこう見えても女子が選ぶ学園の男子ランキング堂々の一位だ!それに生徒会の一員で信用もある!僕が猫屋敷さんに襲われたって口を滑らせたらどっちが加害者になるんだろうなぁ?」


猫屋敷は涙目で顔を上げ、自分のブレザーに手を掛ける。


「ぐっ、なんなんですか、この先輩ッ!!無駄にスペックが高いんですよぉ!!友達くらいなってくださいよぉおおおお!!!メル友でもいいんで普通の女子高生らしいことさせろおぉおぉおおおおおお!!!」


このぼっちは自分のブレザーを脱ぎ始め、今度はシャツのボタンに手を掛け始めた。


「何をして「先輩、勝った気でいますねぇ?くく、にゃはは!!甘い、甘過ぎでぇす!!環境を制覇したものが本物の勝利者となるんです!!この場で下着姿になって叫んでやりますよぉ!!!そうすれば人気なんて関係ない!!!仔猫は晴れて被害者で、先輩は仔猫の奴れ....おほん、友達になるんです!!!」


今、奴隷って口にしようとしなかった?


「はあああああああぁあああもぉおお!!わかった、わかったから!友達くらいにはなってやるから落ち着け..........」


ここいらがおとしどころか。


「はぁ....はぁ.......分かってくれましたか.......」


この後輩..........道理で友達がいない訳だ。一年生周りの関係性を遠目で見たことがあるから分かっていたけど、この後輩系ヒロイン、嫌われる事を平然とする自己中クソ女だ。

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