ナンバー2は一番のファン
「____________あんたは友人が好きなんだな。」
銀城友人のファンクラブ設立者、ナンバー1が初めて接触して来た日の事を思い出す。
(屋上で黄昏る銀城くんを見守る事が日課となりつつある平和な毎日だったけれど、どうやら変化が訪れたようだ。)
物陰から姿を表し、ナンバー1の姿を確認する。
「君は............そうか、そうだろうとも。君以外に彼を観察する者は今現在はいないだろうからね。」
クスクスと笑いながら、真っ直ぐとナンバー1の瞳を見据える。
「僕を止める?それとも彼にスニッチするかい?僕は一向に構わないよ。逆に伝えてくれ。僕は彼を心から愛していると。」
嫌われるなら素直に嫌われよう。だからといって観察を止める訳ではない。お嫁さんになれるならなりたい。だが、無理だと言うのなら遠目から見るくらいは許されるだろう?決して危害を加える事はしないと約束しよう。
「いや、伝えないけど.........一つ、いいかな?」
「............なんだい?」
ナンバー1は寝転がる銀城友人を指差し、苦笑を見せながら尋ねてくる。
「____________友人を守る為に同盟を組まないか。」
「武田くん.........僕は銀城友人の一番のファンでね、ナンバー1なんて目じゃない程に彼の事を溺愛しているんだ。」
ナンバー2は腰を椅子へと下ろし、月を眺める。彼女の目の前には倒れ伏せるナンバー3、武田風林の姿があった。
「......てめぇ、どういうつもりだ?」
視線を月から倒れる武田へと下ろし彼女へと告げる。
「僕は疲れたんだ。好き勝手している奴らから僕の銀城を守る事にね。守っても守っても称賛の言葉もご褒美も何も与えられない。受けるのはファンクラブのイかれた奴らからの殺意と憎悪の言葉だけ。」
椅子から立ち上がり、武田の元へと近付くとしゃがみこむ。
「四大美少女と呼ばれるメインヒロインのメスガキ共と愛に飢えた娼婦がごとき教師どもは楽しく盤面でラブコメディを繰り広げている。君だってそうだ。風紀委員と生徒会の抗争で接触をしたね。気付かないとでも思ったかい?」
髪を掴み上げ、武田風林の瞳を覗き込む。
「どういうつもりか、と僕に聞いたね。逆に問おう。ファンクラブの鉄則を先に破った君の行動は...........一体どういうつもりだ?」
武田の顔面を地面へと叩き付ける。そしてナンバー2は立ち上がり、帰路の為に背を向ける。
「隠れてのお守りは終わりだ。脇役で徹してられる程、僕もお人好しじゃあない。銀城、今度は僕が堂々と隣に並び立ち、君を守って上げる。大丈夫、心眼心を封じる手立ては既に完成しているんだ。」
月の光に照らされ、楽しそうにステップを踏むナンバー2。
「ま、待て........待ってくれ.......月見......さん.......私は...」
武田はナンバー2事、【月見かぐや】へと手を伸ばすが力が尽き、そのまま意識を失ってしまう。




