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影の動き

「____________友人、釘宮との距離感は上手く離せたか?」


保健室にあるベッドに腰掛ける青年に対し、微笑を浮かべる。


「はい.........もう後戻りは出来ません。」


覚悟を決めた表情に思わず頬がつり上がってしまう。恐らく釘宮デレナに対し、決定打になることを口にしたのだろう。


「それでいい。自分の考える最善の道を進め。私はそれを上手く行くように調整してやる。だから、振り向かずに足を前へと進めろ。」


銀城友人の望む道先をこの手で支えてやる。その先の未来で私は『ヒロイン』となる。ならなければならない。


(あの主人公に.......あのヒロインに.......私は幸せなんだと.........決して負けヒロインではなかったんだと..........)


見せつけなければならない。銀城友人はまだ未熟で子供ではあるが、最高峰の男であることに違いはないんだ。


「僕は........やり遂げて見せますよ。」


容姿鍛練、文武両道、精神面に多少の問題はありだがそんなもの後でどうとでもなる。


(若い燕は私好みに育てるさ。)


銀城友人の隣に座り、彼の手を握り締める。


「あぁ、友人なら出来るさ。お前の幼馴染をヒロインにして見せろ。」












銀城ファンクラブの会員数は秘密裏に設立された為、余り多くの人員は存在しない。精々が一クラスに収まる程度に済んでいる。


(正確には過激派を隔離する為に作られた組織だからな。)


有象無象は容易には入会は出来ないのだ。


(会員ナンバー3の私でさえ、ここにいるメンバーは異常過ぎると錯覚させられる程にヤバい奴らの巣窟だと感じている。)


だが、私こと武田風林がこの立場に在るのは一重に強いからだ。圧倒的な『力』でこの立場に君臨しているに過ぎない。


(だが、それも限界が近付いている。ナンバー2の動向が怪しくなってきている........)


これまで二人で守りに徹して組織を制御出来て来た。だが、最近の彼女はファンクラブを律せず自由にさせ気味だ。


「..............ナンバー2、一体なんのつもりだ?」

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