疲れてるって言ってんでしょーが!!
「銀城ぉ♡まったく、お前はいつもいつも話の途中でいなくなるなぁ♡」
生徒会が完全に帰宅したのを見計らって自分へと甘えてくる蓮華一華。今は逃げられないように彼女の膝の上に座らせられ、がっちりと大好きホールドされている。
「先生.........僕もそろそろ帰りたいのですが。」
「おいおい、まだ二人きりになってから一分も経っていないぞ。せっかく風紀委員とのいざこざを解決出来たんだ。私なりに銀城を労いというのに、まったく、銀城は照れ屋で困ってしまうな。これでは将来の旦那として心配になってしまうじゃないか。」
未来永劫そんなことにはならないから安心して欲しい。
「蓮華先生......何度も言いますが、僕は先生にそういった気持ちはありません。こんなことをされても迷惑なだけです。」
「銀城、お前の気持ちは分かっている。今は私と銀城だけなんだ。遠慮することはない。素直になれ。私の事を心から愛していると言ってくれたときの様に気持ちをぶつけてくれればいいんだ。」
いつ誰が何処であんたに愛していると言った?とうとう幻聴まで聞こえるようになったのか、この教師は。
「私は銀城の全てを受け入れる。もちろん銀城が望むなら今すぐにでも肉体関係を結んでもいい。ただ、もし事を致したいなら........私の家に来て貰う事になるが、いいか?」
「いえ、結構です。生徒会の今後の課題や財政レポートを今日中にまとめておかなければならないので。」
ぎゅっと抱き締める力が強くなる。
「___________私より大切な事か?」
必殺の上目遣い。それに猫撫で声。普通の男であれば我慢が出来なくなるような破壊力だ。
(だが、僕は知っている.......)
この女に手を出したが最後であることを。
(束縛される未来が容易に想像できる。)
時崎やデレナとは違ったヤバさがこの女にはある。結ばれた時に絶対に逃さないという覚悟の度合いが他とは一戦を画すのだ。
「そうですね........副生徒会長ですから。立場あるものはその職務を果たさなければなりません。先生も先生としての立場を見詰め直して下さい。」
「.........ふふふ、銀城は真面目なんだな。そう言うところも大好きだぞぉ♡」
頭を我が子を愛おしむように撫でる蓮華。それをただ真顔で受け入れるしかなかった。
(はぁ.............もう19時かぁ)
帰りたいと言う気持ちだけが先行する。
「________銀城、何時でも私を呼んでくれ。」
携帯の電源を付けると、時間は既に23時を越えていた。家までは車で送ってくれたが、堪ったものではない。
「いや、待てよ...........私が銀城の家へ引っ越すという案もあるな。そうしたら毎日一緒に居られる。いいアイデアだとは思わないか?」
「思いません。おやすみなさい、蓮華先生。」
家の玄関を閉める。昨日今日といい、身体は安静を必要としているというのに..........
「はぁ........疲れた。」
リビングへと向かう。そして電気をつける。
「____________________友人、おかえり。」




