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三冠娘

「裏切を倒した........と言うことは銀城先輩も何かしらの武術を嗜んでいる、という事で宜しいですね。」


土煙を手で払い、ズンズンとゆっくりと此方へと向かってくる○イラントもとい武田風林。猫屋敷など震えて口がXになってしまっている。


「武田さん........君の武勇伝は聞き及んでいるよ。」

(外見的容姿は普通なんだ.........だけど、彼女の放つオーラは常人のそれではない。)


少しでも時間を稼がなければ。せめて毛利か紀陽がこの場に到着するまで。


「隙がない..........銀城先輩、やはり貴方は生徒会の中でも突飛して強い方なのだろう。対戦相手に文句はありません。正々堂々と拳を交えましょう。」


凄まじい闘気を感じる。


「銀城先輩、やばいですって.......逃げましょう」ボソッ


猫屋敷はぐいっと腕を引っ張りこの場から逃げるように耳打ちする。


「...............もう遅い。」

(素人の猫屋敷でさえ、目の前の武田がヤバい存在であると肌で感じている。)


それを正面から見ていた武田はバチンと両拳を合わせ、猫屋敷へと標的を変えた。


「学園の四大美少女だかなんだか知らねぇが今は銀城先輩とウチの時間だ!邪魔すんじゃねぇよ、猫屋敷!!」


.................こっちが素の武田風林なのか。


「あぁ?さんをつけろよ、筋肉ダルマ。」


猫屋敷、お前の度胸は認めッ..........


「_______________すいませんね、銀城先輩。邪魔な野良猫がうるさかったので、先に退かして置きます。」


あの場所から跳躍した.............ここから5mくらいは距離があった筈だ。猫屋敷の顔面へと武田の両足が直撃し、廊下の端まで飛ばされ一発KO。あんなの素人では防ぎようがない。


(人間じゃない............予感はしていたが、こいつ強いッ)


自分の隣に並び立つ武田はぼーっと自分の顔を見つめてくる。


(なんだこいつ、攻撃をしてこない?)


余裕のつもりか。拳を握り締め、ギゅっと後ろへと右腕を引く。


「僕も舐められたものだよッ!!」

(____________渾身の一撃を叩き込む。)


正拳突き。自分が打ち出せる最高速を持って解き放つ。


「がぁっ!!!」


そしてそれは見事に腹部へと直撃した。後ろへと下がり、腹へと手を置く武田。


「あぁ...痛い........凄い...ふふ............ひっひ、ひひ、あひゃひゃひゃ!!!!」


興奮した様に笑い声を廊下に響かせ、下卑た視線で自分を見つめてくる。


(...........き、キモい)


涎を垂らしながら、ゆらりゆらりと近付いてくる。それも飛びきりの笑顔を浮かべて。


「もっとです........銀城先輩ぃ.......もっとくださぁい..............」


バックステップを踏み、距離を取る。そしてそのまま背を向け、階段を目指した。


(障害物もなく、視界が良すぎる場所であの女と戦うのは危険過ぎる..........)


時崎時子をマー○ルに例えるならば○キだろう。そして武田風林は○イティー・ソーに考えられる。前者は前面で戦っても強いが、手数が強く頭脳を使った戦い方をする。後者は戦闘センスの塊、そして肉体のポテンシャルで相手を圧倒する戦い方をして見せる。


「ぐっ、この女ッ!!」

(足も速いのか!!)


階段を駆け上がり、三階まで来たが直ぐ真後ろに引っ付く様についてくる。


(しかも無駄に走るフォームもいい........障害物がある教室に入って応戦するしかない。)


理科室の札が見え、扉へとタックルし教室へと侵入する。そして即座に身を隠す。


「...........隠れても無駄ですよ、銀城先輩。」


武田は教室へと入るとくんくんと匂いを嗅ぎ始めた。


「私の嗅覚は普通の人より優れています。特に銀城先輩はいい匂いがしますからね。」

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