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裏切くんは裏切らない

「猫屋敷さんは僕と居てくれるかな。」


非戦闘員の猫屋敷では今回の件で何の役にも立たないだろう。裏切に単体でぶつけるなんて愚行は踏まない。自分がきっちりと彼を戦闘不能にし、武田風林を探し討伐する。


(僕が裏切と武田を片付ければいい。)


毛利を残し、学園内へと足を踏み入れる。夜の学園と言うのは不気味なものだ。だけど、どこか神秘的にも見える。窓から差し込む月の光が廊下を照らしつけ道を作っているのだから。


「はい!仔猫はいつまでも先輩といます!」


ぎゅっと腕へと引っ付き頬擦りをする猫屋敷。馴れ馴れしい後輩だ。て言うか力が思ったよりも強いな。


「離れてくれ、というか離れろぉおおおお!!!」ぐぐぐ


頭を掴み、猫屋敷を引き剥がそうとするがにゃあああと雄叫びを上げて離れない。


「離れませぇええええええんんんん!!!!!!」


お前は○八先生か!ぶんぶんと腕を振るうがぜんぜん離れてくれない。こんな場面を時崎やデレナにでも見られてみろ、火に油を注ぐようなものだ。



「____________随分と余裕を見せてくれる、副生徒会長。」



廊下の向かい側からコツコツと足音を響かせ、此方へと裾を上げながら向かってくる男の声。


「___________こんばんわ、裏切光秀くん。」

(探す手間が省けた。君から現れてくれて嬉しいよ、メガネくん。)


武田風林は時崎に匹敵し得る実力を持ち合わせている。この女に関しては勝てるビジョンがあまりわかない。


(故に裏切を速攻で倒して、武田を見つけるしかない。)


二試合を進んですることになるが彼女のスタミナを自分が倒れるまで削れば、生き残った生徒会メンバーで武田を始末する事が出来るだろう。


「猫屋敷さんは下がっていて.......ここは僕がお相手しよう。」


空手の構えは敢えてせず、両腕を曲げ、頭を隠すようにボクシングの構えをとる。相手を油断させる。


「喧嘩は初めてか、副生徒会長。安心していい、直ぐに意識を削いでやる。あまり人を痛ぶるのは好きではないんでね。」


特定の人物たちを除いて、自分が過去に空手をやっていたことは知られていない。故にそこに隙が生まれるのだ。


「____________猫屋敷仔猫さん!」

「は、はい.......なんですか、裏切先輩?」


無言で鼻血を流す裏切。一体どうした?


「ね、猫屋敷さんが僕を先輩って呼んでくれた.......感無量だ。ではなく、この戦いで勝った勝利者『側』には報奨があるのだろう。ならば、猫屋敷仔猫さん!」

「うぅ、びっくりするので一々叫ばないでください!」

「そ、それはすまなかった.......おほん、猫屋敷仔猫さん、勝ったら僕とお付き合いして下さいませんか!」


猫屋敷はなに言ってんだこいつ?と目を細めるが、何か悪巧みが頭に浮かんだのかにゃふふと小さく笑い始める。


「銀城先輩に勝てたらいいですよ、裏切先輩♡」


裏切の瞳に闘志が宿るのが見える。


(こいつ.........余計な事を)


小悪魔的な表情でこちらをチラチラと見てくる猫屋敷に苛立ちを覚えるが溜め息を吐きだし、前を見る。


「わざと負けるのも一手だな」ボソッ

「ちょっ、先輩!!?負けたら許しませんからね!!」

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