現実の生徒会ってそこまで権力はないよね
最初のターゲット、それは副生徒会長【星々姫々】である。
彼女を第一の標的にした理由は簡単だ。
「_______________銀城書記、また相談に乗って貰っても良いだろうか?」
そう、銀城友人はこの学園の書記なのである。
(自分で言うのもなんだけど、僕はTHE・優等生の肩書きを持つ才色兼備の美青年。他者にも優しく、非の打ち所がない好青年であると自負してる。)
イケメン親友ポジの立ち位置は多くの場合がスペックがかなり高い。僕もその内の一人に入ることだろう。最も中身はこのように歪んでしまってはいるが。
「もちろん。書類を片付けたらになるけど、いい?」
「手伝おう。」
数多の告白を断り、彼女を作らず、ハーレム主人公と愉快な仲間達といるためにホモ疑惑を掛けられてはいるが、決して男好家ではない。断じてない。大切な事などで二度言わせてもらう。
「銀城くんは生徒会長のポストを狙っているかい?もしそうであれば、私は次期選挙で再び副会長に立候補するが......」
「僕は生徒会長の器じゃないよ。生徒会長に就くべき人間は星々さんだ。」
真っ直ぐと彼女の目を見て星々姫々へとそう告げる。そして続けてこう言葉にした。
「________僕はただ、貴方の隣で生徒会を支えたいんです。」
照れた様に目を背け、書類業務に戻る。もちろん演技ではあるのだが。彼女に悟られないように一瞬、彼女の表情を確認したが耳が赤く、驚愕した様子であった。
(そう......徐々に、徐々にだ。こちらの好意を少しずつと馴染ませ、相手の心を埋め尽くして行く。時間は掛かるが、面林への好意をこちらへと向ける事が出来るだろう。)
星々姫々は冷静さを取り戻したのか、意を決したように口を開く。
「銀城くん......君は「姫々ちゃん!!!友人ちゃん!!!おっはよーーーーーーーぉおおおお!!!」
現生徒会会長【昼夜眠】が生徒会室の扉を勢い良く開けて自分達の元まで駆け寄って来た。
「.........今日も元気ですね、昼夜生徒会長。」
昼夜眠は日中は元気で、夕夜は物静かになる特性がある。まるで二重人格のように。
(カリスマ性を持ち合わせる面白い女性だ。)
ちなみに副会長である星々姫々はこの生徒会長を大いに苦手としている。
(まぁ、馴れ馴れしい人ではあるからな。会話の主導権を握りたい星々姫々では相性が悪過ぎる。)
今など、星々は昼夜会長の手により頭をよしよしとされている状態だ。
「か、会長、やめ、やめてください..........うぅ//」
この光景は中々に見れないものだろう。お姉様系のヒロインがこう翻弄されているとグッとくるものがあるなとは個人的には思う。
(まさにギャップ萌え。)
まぁ、現実的にはただ星々姫々がセクハラされているだけなのだが。
「ええではないか........ええやん.....はぁはぁ......かわええなぁ.......はぁはぁ」
涎を垂らすな。やっている事が最早おっさんなのだ。可愛い容姿をしているのにそのギャップのせいでキモいなぁと毎度の事ながら感じてしまう。
「姫々ちゃぁん...はぁはぁ....今日もええ匂いやねぇ...はぁはぁ......今日、お姉さんとどう?........さ、さきっちょだけだがぁあ!!!?いたいいたいいたよぉおおお!!?」
「すまんなぁ、毎度毎度うちの変態が迷惑掛けて。」
生徒会室に入ってきたと同時に会計の【糸目刺繍】は昼夜生徒会長にプロレス技スタナーをかけた。そして、即効でダウンした会長へ寝技を決め、絞め上げるのである。
「ギブギブギブギブギブギブ!!!落ちちゃう、堕ちちゃうからぁああああああぁ...........あ____________」
ア、オチマシタネ。
「俺ら三年生はもうじき生徒会卒業だってのに、最後までこんな調子で悪いな。」
名前以外は唯一の常識人、庶務【榊抜刀歳】がそう言いながら遅れて生徒会室へと入ってくる。
「いえ、先輩方が居なくなる事が考えられないくらいには賑やかで楽しい一年間でしたよ。」
そう、この五人のメンバー達こそが我ら生徒会役員共なのである。
「銀城......お前は顔だけじゃなくて中身も良い奴だよなぁ。困った事があれば何でも言ってくれよ!」
自分の背中をバンバンと叩いてくる。まぁ、そう演じて来たのだから当然と言えば当然なのだが。
(ハーレム主人公一派に遅れをとらないくらいにはキャラが立った人達だよなぁ.......まぁ、あと一月もしないうちに三年生の三名は生徒会を卒業するんだけどさ。)
とはいえ、これが副生徒会長【星々姫々】が属する環境だ。ハーレム主人公と一緒ではない時は恐らく自分が彼女といる時間の方が長い。
(そう...........付け入る隙が一番あるのだ。)