話を聞かない人ほど強い人はいない
「つれないことを言うなよぉ銀城ぉ?」
頬擦りをしてくる蓮華一華。それを真顔でただ受け止める。
「僕と先生は教え子と生徒の関係です。自重して下さい。」
「この教室にいるのは私と銀城の二人だけだ。教師も生徒も関係ない。遠慮をする必要はないんだよ、銀城。自分に素直になれ。私が欲しいんだろ?蓮華一華はここにいるぞ、銀城。」
蓮華一華は話を聞かない。生徒会に新任してから理解した。この女性がどう言った人間であるのかを。
(自分の世界で完結している人なんだ。)
瞳は濁り、光はない。以前の蓮華一華じゃない。故に手強い。
(............時崎とデレナは抑え込んでくれてる。だけど、蓮華一華は自分で解決しなければならないのか。)
心眼先生が危険度Sの二人を抑え込んでくれている事は心強い。だが、蓮華一華がこのような変則的な変化をするとは予想していなかった。
「この胸の鼓動が聞こえるか、銀城?私は銀城といると平常ではいられないんだ。授業中や廊下ですれ違ったりすると銀城を目で追ってしまう。銀城の事ばかりが頭に浮かぶ。これを愛と言わず何と言う?」
銀城銀城銀城銀城銀城銀城銀城銀城銀城銀城銀城銀城と本当に五月蝿い女だ。新生徒会になってから毎日。二人だけになるといつも甘えてくる。
(ここ二日はお昼に生徒相談室に呼び出しを喰らう程だ。)
お弁当を作って来たとほざき、甘えてくる。そして自分をどれだけ愛しているのかを淡々と語ってくる。
(.............異常なんだよ、アンタは。)
今もにこにこと濁った目で自分を見つめ、肌を指先で触れてくる。
「先生、僕は...........やめて、下さい。僕は蓮華先生をそんな目では見れません。」
そう言うとギュッと両の頬を彼女の手で挟まれ、蓮華一華の顔元へと向けられる。
「変な事を言うんだな、銀城。銀城は私を愛していると言ったじゃないか。なんで私をちゃんと見てくれない。銀城、私に遠慮をする必要はないんだぞ。もしかして、照れているのか?そうか、そうに違いないよな。先生と生徒の愛はやはり世間体的にも良くないものだからな。だけど安心してくれ。どんな困難も私達なら乗り越えられると私は信じているんだ。私と銀城なら例え火の中、海の中ってやつだな。そうだ、いいことを思い付いたぞ............」
この女は何を言っているんだ...........正気じゃない。早くこの場を去らないと何をされるか分からない。
「れ、蓮華先生、そろそろ僕も風紀い「子供を作ろう!」は、はい?」
心眼先生...........多分、一人でこの人を乗り越える事は無理かも知れないです。




