目指すべき生徒会
新生徒会になってから一週間、生徒会は今まで以上に騒がしい場所と化していた。そしてヒロインズも新しい環境に慣れるためか接触も以前のような過激なものは少なくなった。
「この脳ミソが筋肉で出来たような男を私に近付けるな。プロテイン臭くてかなわん。」
眉間に皺を寄せ、嫌悪感丸出しで毒舌を吐く書記ジェイソン。
「棒を振ることが得意のようだが、大きさはたいした事がないとお前の彼女は言っていたぞ?」
毒舌に対して皮肉を返すジョンソンにジェイソンは睨みを効かせる。ジェイソンが剣道をしている為、竹刀と○棒を掛けたのだろう。上手い。笑。
「どうやらその棒の重みを感じたいらしい。」
「その小さな割り箸で何が出来る?」
両者は立ち上がり一触即発の雰囲気を出す。そして互いに手を出そうとした刹那、猫屋敷仔猫が間へと割り込んだ。
「ジョンソン先輩にジェイソン先輩!!ハゲ頭二人で欧米映画風の喧嘩を始めないで下さい!生徒会はジェットストリームする場所ではないんですよ!」しゃー
ツッコミがかなりグレーゾーンではある。だが面白い事にこの二人は猫屋敷の言う事はしっかりと聞くのだ。
「仔猫に免じて見逃してやる。次はない。」
ジェイソンはそう言うと自分の椅子へと腰を下ろす。
「この指が見えるか?彼女が止めなかったらお前のケツの穴にはこの指が入っていた。」
中指を立て、挑発するように席へと座るジョンソン。互いにメンチを切りあっているがもう見慣れてしまった光景だ。というかいい加減にしろ。ジョンソン、お前さっきから下ネタしか言ってないこと気付いてる?
「あーおほん!さぁ、そろそろ生徒会の方針について話し合おうじゃないか!」
星々姫々が指揮を取りようやく生徒会は仕事モードに切り替わる。
「私が目指す生徒会、それを先ず君達に伝えようと思う。」
星々が目指す生徒会、それは去年と同じ、楽しくやろうと言うものだった。昼夜前生徒会長はアレな人だったけれど、学園全体が有意義に楽しめるように様々な催し物を展開して見せた。
「性格には難あれど、人をしっかりと導いてくれる素晴らしい指導者だったわ。あのちゃらんぽらんな点がなければ本当に文句のない先輩だったの。悔やまれるわね。」
例を出すなら他校との連携、海外生徒との交流、そして職場体験制度の強化など、将来的に有用になることを率先して学園へと取り入れていったのだ。
「星々生徒会長の言う通り、昼夜先輩について行けば必ず政策は成功した。だけどもうあのカリスマはいない。そのサポートに徹していた三年生の先輩方も生徒会を卒業した。ならば、僕たちは上手く行かないのか?違うね。僕たちは昼夜先輩を越えて行くんだ。他校から見たこの学園はスポーツ強豪校程度の認識だろう。だけど、この学園の本質はスポーツだけじゃないだろう。」
一同は頷く。
「何かの才能に優れた者でなければ入学は許されないという教則の元に螺舞妓女学園は成り立っている。」
初代校長は勉学やスポーツ技術だけでなくとも世界には様々な分野があり、その個人にあった才能や技術を伸ばすことで唯一無二の存在になれると提唱しているのだ。
「良い具体例が昼夜生徒会長の特出した【発想力】、そしてその発想を現実に転換出来る程の【カリスマ性】だね。刺繍元会計は【人事の管理】、榊元庶務は【メンタルサポート】とこの学園の在校生でそれらの才を上回る者はまだ存在していない。」
だが、何れは越える才能を持つ者が入学してくるのだろう。
「僕は君達が前生徒会を越えるだけのポテンシャルを持っていると信じている。」
此所に集まった癖の強い生徒会メンバーならば、何か学園の歴史に残るような事をしてくれる気がするのだ。知らんけど。




