やはりNTRは正義なのか
銀城友人と釘宮デレナは幼馴染である。
両親同士が元々大親友で家を近所に建てるくらいには絆の深い関係を築いていた。そのため、幼少の頃からデレナの事は知っているし、両親が健在の時には家族ぐるみの付き合いでよく両家で旅行にも行っていたんだ。
「大きくなったら結婚しようね、ゆうじ!」
「うん!」
小さい頃には結婚の約束もしたくらいには自分とデレナも仲睦まじかったと思う。まぁ、子供の口約束なんてあってないようなものだろうけど。
(それでも僕は............一緒の学校に通って、卒業して、いずれはデレナと結婚するものだと純粋な気持ちでいたんだ。)
バカだよな。大人になれば気持ちなんていくらでも変わるって言うのに。
「___________ゆうじ、明日からは一緒に登校できないから。」
一年前の春、その時がやって来た。
「それは、なんで......」
「実は私..........好きな人が出来たんだ。ゆうじといるとさ、勘違いされちゃうかもだしさ、本当にいきなりでごめん。」
心にぽっかりと穴が出来るような感覚、そしてあまりの衝撃に一瞬、頭が真っ白になった事を覚えている。
「...........で、デレナもそんなお年頃かぁ~。応援するよ。何か相談に乗れる事があれば何でも言って欲しい。」
「もぉーそう言うこという!私のこといつまでも子供扱いしてぇ!でもありがと。恋愛相談するかもだしさ、私の恋バナに期待しててよ!」
デレナは馬鹿にされたのだと笑っていた。自分も同じく笑みを見せるが、上手く笑えていたかは分からない。
「.................面林最照。」
釘宮デレナが恋をした男。探りを入れるために接触を試み、懐に入ることに成功する。デレナに相応しい男であるかを見極める。
(好きな女性には幸せな人生を送って欲しいから。)
面林の友人、もとい奴の親友まで昇格した現在、あの男は釘宮デレナに相応しくないと総合的に評価出来た。
(そもそもハーレム野郎に大切な幼馴染を託せられる訳がないんだ。)
相手が誠実ならいい。だけど、そうでないなら後悔をする前に離れるべきである。
「でも.........あぁああああくそ、デレナの悲しむ顔が浮かぶ!」
あの恋に恋する顔を歪めたくない。あの男と話をする釘宮デレナはとても輝いて見えるんだ。それなのに彼女の恋愛を諦めさせなければならないのか。否、違うだろう。
(誠実でないなら、そうさせればいい。)
答えなんて一つしかない。自分が取れる行動。
(___________それは釘宮デレナ以外のヒロインズの攻略に他ならない。)
僕自身が舞台の上に立つ。NTRものは邪道?
「違うね________________正義だ。」
釘宮デレナを確定ヒロインとするために。