お姉さん系ヒロインは残念美人ヒロインに成り下がる
日曜日の午後に少し気分転換をしようと外出をする。行きつけの喫茶店で珈琲を頼み、読書をするために本へと視線を向けようとすると、窓からある人物の姿が見えた。
「銀城くん.............あ」
目が合う。会釈をされた。そのまま歩き去ってしまった。
「いやいやいやいや!違うでしょ!!」
なんでそのまま行ってしまおうとするの。一緒にお茶してよ。あれから一度も喫茶店デートしてないんだぞ。
「銀城くんの連絡先だって私知らないんだからぁ!もぉおおおおお!!お釣りはいりません!!」
直ぐにお財布からお金を取り出し、マスターへと渡す。そして急いで銀城くんの後を追った。
「ぎ、銀城くん!!!ぜぇ......ぜぇ........や、やっと追い付いた...........」
「ほ、星々さん........大丈夫?」
心配した声を掛けてくれるが、若干笑いを堪えている銀城くん。可愛い.........じゃなくて、恥ずかしくなって来た。
「い、一緒にお茶でも......ぜぇ.........しない?」
「ナンパにしては斬新だね。」
運動音痴ではないが、体力がないせいで息切れを起こしている。かっこわるいなぁ、私.........。
「_________うん、いいよ行こっか、星々さん。」
手を引かれ、さっきまでいた行きつけの喫茶店へと戻る。
(ぎ、銀城くんと手、握ってる.......やばい、手汗、ヤバい)
収まれ、私の右手ッ...........!!今じゃない!汗を出すのは今じゃないの!!
「___________」にちゃ
喫茶店へと入り、奥の席へと辿り着く。握っていた手を離されると汗が音をたてて、地面を叩いた。
(いやあああああああああああああああああ)
死にたい。消えてしまいたい。鬱になりそう。
(考えてもみて欲しい。好きな人の手を自分の手汗で汚す場面を.........あれ?なんかエロいな。)
じゃなくて、普通に考えて相手の立場になったら嫌だろ。純粋にきちゃないってなるでしょ。
(ん......でも銀城くんがもし手汗びちょびちょだったら.......)ごくり
いかんいかん。それはダメな思考だ。て言うかいつまで手汗について思考を割いているんだ。目の前にいるのは想い人、銀城友人だ。集中しろ。自分の中の邪な鬼を滅しろ。全呼吸。
「____________えっと、星々さん?」
「ひゃい!しゅきです!」
何を言ってるんだぁああああああああああ!!?いい加減にしろよ、私ぃいいいい!!!
「あっはは.........僕も好きですよ。」
片眼を閉じて、微笑を見せる銀城くん。普通に返してくれた。それもどストレートに。しゅき。私も大々だいしゅきぃ!
(て言うか.......え、えっち過ぎん、この男の子?)
その挑発するようなアダルティーな表情に鎖骨のチラ見せ......誘ってるとしか言いようがない。
(あ、あかん.........理性が保てている内に撤退しないと、銀城くんを襲いかねない........)
バッと席を立ち上がる。そして急いで自分のライムIDを小さいメモ用紙に書き、連絡してね♪と一筆加え銀城くんへと渡す。
「銀城くん、どうやら私には刺激が強すぎたようだ。明日の生徒会総選挙で会おう。」
「え、あ、うん?」
何がなんだかと言った様子の銀城くんを置き去りにし、その場を去る。家まで涙目だった事はどうか見なかった事にして欲しい。
「うぅううううう私のばかあああああああああああ!!!」