NTRが大変な作業だってマニュアルに書いといてよ!
あの保険教師はヤバすぎる........敵に回してはいけない。
(いや、もう遅い........目をつけられた。)
保健室へ行くべきではなかったのだ。自分の教室を素通りし、屋上へと向かう。
(...........蓮華先生が顧問に就任するまで猶予はあまりない。)
新生徒会になった時、必ずあの保険の教師は介入してくる。
(星々は簡単に捌ける。猫屋敷も面倒臭いが、扱い方を間違えなければ完全なメンヘラ化は避けられる。)
問題なのが、幼馴染の釘宮デレナだ。ここ二日の彼女は常軌を逸脱している。最早、恐怖の対象と言っていい程に奇行が酷い。
(普通男子トイレに入って、上から覗くか?)
否、覗かないだろ。一体どうなってる?あれは本当に自分の知っている釘宮デレナなのか.........
「君をヒロインにするために始めた物語だぞ.........」
最早、一番の障害にもなり得る可能性すらある。
「考えろ.........手っ取り早く面林最照がデレナを彼女にする方法を。」
残された期間は一月にも満たない。蓮華一華の参戦は心眼心の参戦を意味する。その状況下でヒロインズを攻略出来るだけの余力があるかと問われれば『ない』としか答えられない。
(大人が物語に介入する前にケリをつけなければゲームオーバは避けられない。)
携帯を開くと、三十件にも近いライムが猫屋敷から送られて来ていた。それに続くように星々からの心配のライム。そしてデレナからの放課後あんたの家行くからライム。
「勘弁してくれ.........」
携帯の電源をオフにし、壁に背をつける。そして曇天の空へと目を向けた。
「...............時崎時子。」
次に接触をしなければならないヒロインズの一人。
「正直に言うと舐めてたよ、面林。君は凄い奴だよ。」
ハーレムの維持を鈍感で突き通すその豪胆な性格。これを一年もしていた事実だけで勲章ものだ。
「.............この化物ヒロインをしっかりとお前という檻に閉じ込めてくれて有り難う。だけど、その檻を解放する時が来たようだ。」
時崎時子は最もハーレムヒロインズ内で面林に入れ込んでいるサイコパス。裏の顔は特に酷い。自分の幼馴染もけっこうイッている所もあるが、それを差し置いても時崎時子は異常の度が過ぎている。
(正直に言うと攻略したくないし、惚れて欲しくもない。)
だけどやるしかない。攻略するしかないんだ。