やっぱり保健の先生はエロミステリアスに限る
「同人誌........何を言って「そのままの意味さ。私だけを選び同人誌するか、私と蓮華先生の二人を選び同人誌するかだ。実にシンプルな提案だろう。個人的には前者を推奨するがね。」
「その心は?」
「___________私とお前なら波長が合う。」
............否定出来ない。心眼心と結ばれた場合、生涯上手く行くことは間違いない。
(そこに愛があるかは別として........不幸な人生を送る可能性は低い。互いに尊重、妥協点を導き出せるのは強い。)
というか同人誌を隠語として使うな。
「今の時代、妥協が必要なのさ。運命の相手と出会う?心が通じ合う?はっ、笑わせてくれるな。そんな幻想を抱くなら、抱いたまま溺死してしまえ。愛に不滅はないのだからね。」
目の奥に濁りを感じる。この人、絶対に過去に何かあったな。
「私は現実主義なだけだよ。君もそうだろう、銀城。」
「否定は.........しませんよ。だけど僕は全てを諦めているわけじゃない。」
愛にも等しい強迫観念が僕を突き動かしている。釘宮デレナを確定ヒロインとする。その為にハーレムヒロインズの攻略を開始したのだ。今さら止められはしない。
「先生の申し出は喉から手が出る程に甘美な誘いだ。だけどうまい話しには裏があるものです。」
心眼心は自分と同類の人間だ。だから考えが手に取るように分かる。面白い玩具を見つけたから、近くに置こうと軽い考えで先のふざけた提案をしたに過ぎない。
(分かるんだよ、あんたの考えていることは______)
_____見たいのだ。自分が踠き苦しむ姿を。そして愉悦を特等席から感じたいのだ。
「.......僕はもう行きます、心眼先生。」
「なんだ、もう行ってしまうのか。」
保健室から出る為に扉へと手を掛ける。
「何時でもおいで。選択肢は君にある。」
保健室の扉を閉める直前に狐の様に目を細め、笑みを浮かべる姿は悪女そのものであった。