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第2話 10月10日の朝

10月10日(木曜)

時間は8時を過ぎるところ。


ジリリリリ・・・・


カチャ


「うぅ、、、朝だぁ。。。。」

「起きて会社行く支度しなきゃ・・・」


谷村 航平28歳の朝はとてもバタバタ。

特に今日は前日に仕事終わりに同僚と軽く飲み会をしたので、とても眠い。。

いや、酒は関係なくこのところ連日終電近くまで仕事をしているので、結局眠い。

仕事は制作ディレクターなので、クライアントとの付き合いもあり飲み会も多い。

更にメイン担当している案件の調整の為ガシガシ手を動かすことはないが全体に目を配る必要があるので、精神が疲れる。


バッダッダッダ


どうしようもなく布団から出て浴室に向かった。


シャ〜〜〜〜


「ふう、、このまんまでいいんかな・・・」

小さく溢れた。


仕事は充実してるし給料もそこそこ貰えている。

が、仕事が終われば夜中まで飲みに行き、そしてまた仕事の繰り返しをもう5年ほど。

贅沢なのかもしれないが、なにか満ち足りてないのを最近強く感じてる。


「5年・・・あいつと別れてもう5年かぁ」


引きずっているわけではない。

仕事の忙しさとかですれ違いが理由で別れた。

後悔はしていない、けど・・・


「ふぅ、、、」

チラッ


シャワーを浴びながら浴室にある時計に目をやると8時15分。


「あっやべ!いそがなきゃ」


パッと切り替えてシャワーと止め支度を急ぐ。



・・・



職場までは電車で1時間くらい移動する。

仕事はフレックス制なので、朝は比較的自由に出社してるが、一応9時30分くらいには会社に着くようにしてる。

まぁフレックス制と言っても連日終電まで仕事をしてるから、鬼畜なのだが。


ガタンゴトン、ガタンゴトン


「次は渋谷〜渋谷」


朝が比較的遅いから電車は空いてるほうだがさすが都会、近づくごとに人が増える。

まずは、新宿で大勢の人が降車し、また乗車する人が増える。

そして、また渋谷で多く降りて乗る。

渋谷なんか平日でもすごい人だらけ。


某名作アニメのセリフにある

「人がゴミのようだ」

が当てはまるくらいの人。


まぁその中の1人が俺なんだけど。。


ピッピッピッ


降車とのもに多くの人が改札に向かい駅を出る。

絶え間なく鳴る支払いの電子音はこの時間特にすごい。


ピッ


「さて、今日も仕事かぁ〜」

渋谷に着くとこの電子音と共にスイッチを入れるのが日課。


「今日は早く帰りたいなぁ」

小さく呟いて職場に向かった。



・・・



同日。

時間は23時を過ぎた頃。


パチパチパチ


「この資料まだここが治ってないから修正お願いです」


「先輩すいません、、すぐに対応します!」


「終電の時間迫ってるけど、焦らず一発で終わらせよう」


「はい!」


パチパチパチ



ふぅ、、また終電の時間だ。

チラッと目をやると時計は23時30分を過ぎる。


パチパチパチ

パチパチパチ


「先輩!出来ましたので確認をお願いします!」


「はいよ〜」

「・・・」

「うん、大丈夫そうだね」


「ありがとうございます!」


「このあと少しだけ別の仕事やって帰るから先に退社しなね」


「先輩いつもすいません。。お先に失礼します」


「おう!連日すまんね」

「また明日〜」


「いえ!」

「また明日です!」


タッタッタ…


パチパチパチ


「俺も早く終わらせてあがらないと」


パチパチパチ



連日終電の理由はこんな感じ。

案件の最終調整のため最後まで残って処理をしてる。

落ち着く頃には俺1人。


パチパチパチ


「ふぅー終わった」


チラッ

時計を見ると、24時を過ぎる前。


「やば、終電がなくなる」


バタバタバタ…..

ダッダッダッ


急いで支度をして会社を出た。


・・・


ピッ

ダッダッダッ


改札を入ったタイミングでアナウンスが鳴った。


お知らせします。

次に到着します電車は埼京線、大宮行き普通の最終電車となります。

ご乗車のお客様は乗り遅れがないようにご注意くださいませ。

なお、最終電車は少し遅れております。


「あぶな〜」


ホームに着くとまだ最終電車は来ていない。

座席に座れるようにといつも、先頭車両の1つ後ろの車両まで移動し電車を待つ。


タッタッタ…


向かうと既に3人の人が待っていた。

先頭には男性が2人いて、その後ろに女性が1人立って待っている。


「おっ今日は座れるかもな」

疲れた体が少し元気をなった。


「よしっと」

そのまま待っている女性の右側に立ち電車を待つ。


時間と共に人がゾロゾロ増えてきた。


「もう少しかなー」


チラッ


横で立っている女性に目をやると、もう立ちながら寝ている。

恐らく俺よりは年下の女性。


「仕事キツそうだな。。。まぁ人の事言えないけど」

小さく呟いた。


すると。


ピロロロロ〜


電車が入ってくる音が鳴った。


お知らせします。

こちらの電車は埼京線、大宮行き普通の最終電車となります。

ご乗車のお客様は乗り遅れがないようにご注意くださいませ。


「ふぅ、ようやくだ」

またチラッと横に目をやると女性は目を覚ましていた。


なぜか少し安心した。


ガタン…..ゴトン…..ガタン

プシュー


電車のドアが開いた。

ソロソロ….

平日に終電で渋谷に降車する人が少ない。


電車内に目をやると、座席は向かって左側が比較的空いていた。

「よし、座れそうだ」


先頭にいた男性が電車に乗った。


タッタッタ…


2人は最寄りが近いのかドア近くの手すりに掴まった。


「運がいいかも!」

と思いながらも開いている左側に足をやる。


ドタドタドタ…


ストン


後ろから乗車する人の圧力で中に入り座席を確保した。


「ふぅ!足が楽だ!」


終電は特に時間通り電車が進まないので、通常1時間の移動でも終電は15分〜30分は追加されることもあるから、想像以上にキツイ。


「よかったよかった」

「まだ明日もあるから本当ラッキー」


座りながらスマホとイヤホンを取り出し、動画を見る準備をした。


と、思い出したかのように横をチラ見すると、さっき横で待っていた女性が座っている。


「よかったよかった」

心の中で思った。


「さて、ゆっくりいきましょうかね」

チャンネル登録している方達の更新された動画を見始めた。


ガタン、ゴトン

ガタン、ゴトン


・・・


乗車して30分。

チラッと窓の外に目をやると、やっぱり遅れている。


「まだここか・・・ほんと座れてよかったな」

「さて続きを‥」


トンッ


左肩に何かが当たった。


チラ見しなくてもわかる。

先ほどの女性が眠りの中コクリコクリとして、頭が当たったのだ。


「まぁ疲労が限界っぽかったしね」

まぁ、泥水し汗の匂いが漂うおじさんとかじゃないからいいか。


これは男性のほとんどが思っていると思う。

・・・いずれそんなおじさんにならないようにと気をつけようと心に言い聞かし、再び動画を見始めた。


女性はそれからずっとコクリ、コクリと倒れないように踏ん張っている。


・・・


ガタン、ゴトン

ガタン、ゴトン


それからさらに15分。

最寄駅まではもう少しかかりそう。


「今日も到着時間が遅くなるなぁ。。。」

座れているものの、さすがにシンドイ・・・

あと少し、あと少しと言い聞かせた。


とその時。


ドサッ!


バッ!


「!!!」


女性の頭が完全に肩に当たり突っ込んできた。


「ハッ・・・・!」


女性も完全に目を覚ました。


「あっ本当にすいません」

眠っている体を無理やり起こしながら、即座に謝ってきた。


「あっ、僕は大丈夫ですので、お気になさらずで」


「すいません、すいません・・・」

ペコペコペコ


「大丈夫ですからね!」


「はい、、ありがとうございます。。。」

グッ・・・


次は少し小さく呟いて謝り体を少し伸ばした。


それからはまた倒れないように意識を保とうとしていた。


そんな女性に

「よかったら僕の肩使って休みますか?」


なんて、言う妄想をしながら僕も動画の続きを見始めた。


ガタン、ゴトン

ガタン、ゴトン


それから更に10分ほど。

もう少しで最寄駅に着く。


チラッ


横に目をやるとコクリコクリはしていないが、目を瞑り恐らく寝ている女性がいた。


「これが東京での仕事の1つのリアルなんだろうな」

と、声には出さずに如何に東京で仕事をする大変さを実感した。


「あっ次だ」

見慣れた最寄りの風景が近づき降車する支度をした。


「くぅ〜!腰いった・・・さて」


「次は〇〇、〇〇〜降車の方は〜〜〜」


ガタン…..ゴトン…..ガタン

プシュー


ガタっ

着いた〜と立ち上がった。


バッ


横で寝ていた女性が目を覚まし声をかけてきた。


「すいません、、ここって〇〇駅ですか?」


「えっ、、、あっそうですよ」

「今到着したところです」


「あっありがとうございます」


そういうと、重くなった体を起こし立ち上がりドアに向かって歩きだした。


「あっここなの!」

偶然すぎてビックリした。


「あっ、やばいやばい、、俺も出なきゃ」


プシュー


「あぶないあぶない」


なんとか電車を降りれた。

ホームを見ると、チラホラと改札に向かっている人がいる。

少し遠くに先ほどの女性の姿。


「ふぅ・・・疲れたな」

そう思いながら自分も改札に向かった。


スタスタスタ….


遠くのほうでピッピっと電子音が鳴り始めた。

先ほどの女性は改札を出て北口のほうへトボトボと歩いて行った。


「さすがにここまでは違うよね(笑)」

「それにしてもすごい偶然だったなぁ」

「さて、今日もお疲れさまでした」


ピッ


改札を出て、南口のほうにある自宅に向かった。



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お読みくださいましてありがとうございます。

いかがでしたでしょうか?

ぜひお気に入り登録、評価などをしていただけたら今後の参考と活力にさせていただきます!

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