覚書/唯物史観について
Ⅰ 総説
01 前置
史学科出なので唯物史観のお世話になる。「ローマの休日」の脚本家様もマルキストでご苦労なさったそうですが、結局のところマルキシズムは失敗した社会実験で、恐怖政治の根幹思想になり、多くの人を不幸にする思想だと考えるに至る。――ジェノサイド:ロシア2千万、中国5千万。非寛容性。ナチス・ドイツ600万。日本の南京および第二次世界大戦に関わる虐殺については諸説あり不明。
02 唯物史観の前哨戦 その1 【フリードリッヒ・リストの段階説】wiki
リストは温帯地方の国は次のような発展をたどるとした(彼の言う「商」は、現代で言えば国際貿易のことである)。
未開状態→牧畜状態→農業状態→農工状態→農工商状態
彼の学説は、当時のドイツの貿易政策への提言という側面も持っていた。
フリードリッヒ・リストの段階説はマルクス・エンゲルスにも影響を与える。
03 唯物史観の前哨戦 その2 『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト』AI
歴史から社会集団を大雑把に2つに分けてみた:
ドイツの社会学者フェルディナント・テンニエスが主著『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト:純粋社会学の基本概念』(1887)において、社会集団を二つの類型を区分。
①ゲマインシャフト:産業革命以前の共同体社会、つまりは自然に発生した村落共同体社会。
⓶ゲゼルシャフト:産業革命以後の社会で、都市や国家、会社や組合など、人が意図的につくりだした共同体社会。
Ⅱ マルクスの唯物史観
唯物史観とは、マルクス主義の歴史観で、物質的・経済的な生産関係の変化が歴史を動かす原動力であるとする思想だ。哲学者カール・マルクス(1818年 - 1883年)の説である。
01 【唯物史観の趣旨】
哲学者マルクスが『経済学批判』と『ドイツ・イデオロギー』で述べている(AI)。
産業革命後の社会の変化を踏まえて構築した歴史観である。要は、社会的・政治的・精神的生活からなる生活様式の変化だ。ライフスタイル変化は、時が経ち生産力が発展すると、上がりを取る支配者層と、上がりを納める生産者層とのパワーバランスに矛盾が生じ、階級闘争=革命が起こり、次の時代に移るというものだ。マルクス的には、ぴかぴかのユートピア社会「共産主義社会」ですべてが決着するという「教義・信仰」ともいえる。19‐20世紀は、近代・資本主義社会であり、労働者が疎外され、人間性が奪われる。このため、革命によって資本主義社会を打倒し、共産主義社会を実現する必要があるのだと説いた。
02【マルクス経済学の段階説】wiki
マルクス経済学では弁証法的唯物史観にしたがって5つに大別される。
原始共産制→古代奴隷制→封建社会→資本主義社会→共産主義社会
Ⅲ 唯物史観:諸形態の段階
01 原始共産制社会:
私有制が普及する以前の人類の社会体制であり、共産制の1形態とされる。マルクス主義の唯物史観における5つの発展段階の最初の段階である。
02 古代奴隷制社会:
人間を家畜や物と同様に扱い、生産手段として支配下に置く労働制度。古代ギリシャ・古代ローマがモデル。
03 封建制社会:
①中世
476年の西ローマ帝国の崩壊‐1453年の東ローマ帝国滅亡した期間が対象となる。ゲルマン民族・ノルマン人の移動があった。
・レーン制:8世紀フランク王国において、支配層の王侯貴族と臣下の騎士との間で交わされた契約関係(AI)。
・ギルド:商人ギルドや手工業ギルドなど、職業別の組合が結成された。11世紀ごろから西ヨーロッパの都市で形成され、13~14世紀には各都市の政治・経済を支配した。封建領主の圧迫や外来者の競争を乗り越えるために、販売や生産の独占を図った(AI)
・農奴制:基盤層である奴隷が農奴になる。結婚の自由が認められるが移動の自由がない。
・三圃式農業:農地を冬穀・夏穀・休耕地の3つに区分して、ローテーションさせる農法
・都市の市壁外でバザールが開かれる。
⓶近世
中世と近代の過渡期。欧州においては、1453年の東ローマ帝国滅亡によるルネッサンス到来‐産業革命以前を対象とする。
・絶対王政・重商主義・常備軍からなる富国強兵策。王様と貴族がまだいるが実権は郷紳層や商人に移っていく。
・会社の発生:大陸間交易などで、投資家が会社に出資して船団を送り出し、積荷を持ち帰ってきたところで会社が収益を投資家に分配する。
・小作制:基盤層である農奴が小作人になり、移動の自由が生じる。都市部において賃労働者層が爆増する。
・運河が発達する。城壁のない都市が爆増する。都市内部に商店街が形成される。
04 資本主義社会
・個人が資本(土地や資金など)を所有して生産や商売を行い、資本家階級が支配する社会。
・資本家階級と労働者階級という二大階級がある。
・資本家は労働者を雇用して商品を生産する。
・自由競争OK
・鉄道網・モータリゼーションが生じる。都市は城壁を壊して道路にしてしまう。
05 共産主義社会
① 社会主義社会
・資本主義社会から共産主義に至る第一段階で、両者の折衷社会である。概ね共産主義と同義ととらえられる。
・ソビエト連邦(1922‐91年)モデル:市場を封鎖するタイプ。北朝鮮が代表的。
・中華人民共和国(1949‐)モデル:市場を開放するタイプ。1978年の鄧小平・改革開放路線以降。ベトナムもこのタイプだ。
⓶ 共産主義社会
・人類の最高段階と位置付けられる社会。共産主義社会では、国家が廃絶され、人間疎外が止揚され、人間の解放が実現するとされている。
・アルビン・トフラー『第三の波』の趣旨でも類似した文言があった。
・いわゆるユートピア論。――人類の努力目標!
ノート20250504
※記事の整理中に消えてしまったのでやりなおし。