覚書/古代中国・戦国時代女性の地位について
司馬遷の『史記列伝』は、前漢までの有名人エピソードを扱った歴史書である。
古代中国戦国時代は初期鉄器時代である。このころ外国からやってきた家臣を食客と呼んだのだが、大きな領地を持った王族は、食客を多く召し抱えていた。戦国四君はそういう王族達から選ばれた人気ランキング・ベスト4で、趙王国の平原君もその一人だった。
平原君の屋敷にはお気に入りの愛妾がいて、その愛妾が二階の欄干から見える隣家の男を笑った。男は脚が不自由で、びっこを引くさまがおかしかったのだ。すると翌日、隣家の男が平原君に、愛妾を斬ってくれとクレームを言って来た。平原君がそんなささいなことで愛妾は殺せないと取り合わない。すると翌日から、有能な食客が一人二人と去っていく。このとき原因を残っていた食客の一人に言うと、隣家の男の件を持ち出した。
平原君は、残っていた食客の言葉を聞いて、愛妾の首を斬り隣家の男に謝罪した。するとすると、食客達は再び平原君の元に戻って来た。
たぶん、隣家の男は趙国のために従軍し戦闘で脚を負傷した負傷軍人なのだろう。近現代だと勲章ものだ。他方、王族の愛妾は美しいというだけで何ら国家に貢献していない。だから負傷軍人や食客を怒らせたのだ。
古い歴史小説は、年配男性が読者層なのか、概ね食客寄りの意見だが、歴史小説『夏姫』だったか、著者の宮城谷昌光先生が、理解はするが、何も殺すほどではなかろう、とんでもない男社会(父権体制=奴隷制)だったという趣旨のことを述べている。
ノート20240326




