覚書/アニメ『進撃の巨人』 完結編・後編全5話視聴
挿図/(C)奄美「壁なき国の女王」
諫山創先生原作同作品は、2013年4月からアニメとして放送され、その後、断続的に公開され、2023年11月に完結となった。第1期から3期までは、WIT STUDIO社が製作し、第4期(The Final Season:完結編)はMAPPA社が製作した。
物語に〝革命〟を起こした本作。熱量著しくNHKではなく2日がかりのアマプラ視聴になった。MAPPAの絵は劇画調で違和感を感じたが、最後の5話で、WIT STUDIOの絵に戻ったような感じがしてよかった。――ミカサが劇画調から美少女回帰している!
『進撃の巨人』エンディングについて、主人公エレンの行動が、童話『泣いた赤鬼』を感じつつ、エンディングが、映画『あの日の指輪を待つ君に』で、最後の最後で、『平家物語』的諸行無常を感じる。何を言わんとしているか、つまり2000年代で考えられるだけでの、感動系物語の総決算というところか。
さて、パラディ島の未来を意味するエンディング(後日談)は、視聴者の間で物議をかもしているようだ。最後の最後で、少年と犬が、大樹の洞を見つけて入ろうとするところで、「完」というテロップがでてきて物語は終わる。
最後の犬連れた少年と樹木は何を意味するのか? ある人は、少年が犬を連れていることからタロットカードの「愚者」を意味していると言い、またある人は、ハーラン・エリスン原作のSF小説で、米・1975年、サム・ペキンパー監督にのポストアポカリプスものの映画『少年と犬』のオマージュだろうという声もある。
少年が、大樹の洞に向かうシーンは始祖ユミルが巨人になったモチーフと重なり、愚行を繰り返す人類――エレン(の末裔)――とも視聴者には受け取られている。
https://www.youtube.com/watch?v=dH_Kx2gOW9U
他方で、個人的に既視感としては次の作品・伝説が思い浮かぶ。
教養小説的:小説『魔の山』現実世界の縮図
恋愛もの:漫画『愛と誠』における主人公とヒロインの立ち位置
北欧神話:巨人・壁・地ならしといった世界観
ヒストリアの子問題の考察:
物語終盤でヒストリアが生んだ子が誰かという問題が視聴者から指摘されている。制作者アンサーとしての描写は、幼少期のヒストリアに関心があった男の子が、振り向いてもらおうと石を投げた。ヒストリアが即位して孤児院を建てると職員として勤務するようになり、ヒストリアと結ばれ子をなすことになっている。つまり王配。――だが物語とは直接関係しないし、完全安全圏にいた非戦闘員のモブキャラで、これまで死線を共にした戦友ではないし、何の功績もない。
――物語の流れからすればエレンの子となるだろう。ミカサはエレンの暴走のストッパー役なので、彼女がエレンの子を産むことは許されない。エレンがミカサと結ばれない運命である以上、女王として、救国最大の功臣に子孫を残してやることで報いたのだと思う。
先述した、エンディング・大樹の洞に走る少年の描写について私は、個人的に、少年がミカサとジャンの子孫、犬がアルミンの転生、洞で待つのが――黄金ムカデではなく――エレンとヒストリアの子孫だと想像している。
備考:その他気になること;
5億年前にいたハルキゲニアって、『進撃の巨人』の黄金ムカデに似てなくない? ずいぶん前、古生代初期の海で、単細胞型生物が遺伝子型生物を飲み込んだことで、現在の生物の原形ができたという科学番組を視た記憶がある。進撃のアレ、初見、遺伝子型生物とユミルの合体だと考えていた。
https://youtube.com/watch?v=lShiJw7bU8s
ノート2023112