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読書/川端康成『雪国』
『雪国』の初読は中学のとき。中学生むけに編集されたハードカバー本で、正直、当時の私には何が何だか判りません。あとがき解説を読むと、「大人むけの小説です」と書かれてありました。
就職後、陶芸家を取材した番組を視聴。老陶芸家が、「日本の芸術にはエロスがない」と仰っていたのが強く印象に残りました。その事を、職場にいたフランス文学畑の同僚に話したところ、川端康成『雪国』車窓の指場面を例に挙げて、「そんなことはないですよ」と、笑いながら否定いたします。
歳を重ね様々な作品に触れることになりましたが、個人的に『雪国』は、夏目漱石『草枕』を一歩踏み出し、谷崎潤一郎『陰影礼賛』の精神に沿う形で、夏目に向けたアンサーなのだろうなあと考えるに至るところです。――つまるところはエッチな話。
ノート20240716