チートスキル2
「悠久司会進行代わってくれる?」
「了解」
ののかが、前に出てきて、僕と交代した。
「今度は私からチートスキルの魅力について話すね」
「魅力ですか?」
「そう。最近私は、ゲーム実況してるんだけど」
「そういえば、そうだったね」
ののかは春休みからゲーム実況を始めたと言っていた。
ののかのゲーム実況は、可愛らしい声と、ガチのプレイイングで、少しずつ人気が出てきているとのこと。
自分でそう言ってるんだから、相当なんだろう。
「それで、チートスキルとゲーム実況に何の関係があるんだ?」
「全然おもいつかねぇな」
「あたしもわかりません」
トウヤもレミちゃんも僕同様、首を傾げている。
まあ、僕らは、ののか以外ゲームをあんまりやらない。
「悠久は、ゲーム実況を見る人はどういうときに見ると思う?」
「ゲーム攻略法を知りたいからじゃないのか?」
「そういう人も多いよね。他には?」
「他? なにがあると思う?」
「自分でやるのがめんどくさいとかかな?」
「うん。そうそう。RPGだと、めんどくさからかもね、対戦ゲームなら?」
「物語を、ストーリーとかをやりたいわけじゃないんだよね?」
「もちろんそうよ」
僕が、首を傾げていると、レミちゃんが勢いよく手をあげた。
「あ、わかりました。強くなった気になりたいですね!」
「レミちゃん、正解! そうなの。自分がうまくゲームをできたつもりになりたいの。私はやってみせるがわだけどね。それを意識して楽しませるつもりで頑張ってるわ」
「へぇ。それは、新しい知見だね」
「統計とったわけではないけど、プレイをうまくなりたくて、見てくれてる人よりおおいかもしれないの。きっとチート転生系はそういう人たちのニーズにマッチした小説ね」
僕が、納得して言った。
「向上心がない人たち向けだね」
「だから、言い方があるだろう」
「確かにそういう人たちは、ゲームをプレイする向上心とか、魔王を倒したい気持ちとかはないと思うの。普通の人たちは、仕事とか学業とかの疲れをいやすために小説読んでると思うから、そういう人たち向けね。普段頑張ってるからこそ、そういう小説を読みたいんだと思うわ」
「さすが、ののかちゃん。悠久とはちがうな」
「そういう条件を想定すると、まずは転生前は、共感できるような人物にして、転生した後は、過剰なぐらいチートスキルを与えて、敵を倒す爽快感を与えるというのが、いいと思うわ」
僕は、ののかの説明に頷く。
「なるほどね。できるだけストレスフリーにしてあげるのがいいってことだね」
「そういうことなの」
「じゃあ、ストレスフリーになる条件をもっとあげてみようか」
僕は、ホワイトボードに書きだしてみた。
〇ストレスフリーな条件
・最強チートスキル。
・負けなし。
・高貴な身分。
・無条件に異性に慕われる。
・無条件に配下の者にも慕われる。
・敵に恐れおののかれる。
・ガンガン成長して強くなっていく。
「逆に、避けた方がいいことも書いておこうか」
〇ストレスになる要因
・敗北。
・挫折。
・失恋。
「挫折を経験せずに、成長を感じるって難しくないか」
「だから、ゲームのレベルアップとか向いてると思うわ」
さすが、ゲーム好きのののかの視点だ。
「あとは、仲間のピンチに駆けつけるとかもいいかもね。敗北とか、挫折とか、失恋を味方に肩代わりしてもらおう」
「酷いやつだな」
「まあ、酷いのは、主人公じゃなくて作者だけど」
「つまり、お前だろ」
「さあ、まとめようか」
まとめ
・チート転生好きな読者は、物語に爽快感を求めていることが多いので、ストレスフリーなストーリーを意識しよう。