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夢見る僕らの文芸活動(小説書き方小説)  作者: 名録史郎
ヘイト管理

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ヘイト管理とは


「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。さて、今日はヘイト管理について考えていこうか」


「ヘイト管理ってなんだよ」

 トウヤが質問してくれる。


「前少し、チートスキルの時話したけど、ヘイト管理って、いうのはね、おわぁ」


 僕が説明しようとすると、

 突然、ののかに突き飛ばされる。

 僕を押しのけて前に立つとののかが語り始めた。


「ヘイト管理っていうのは、ゲームの用語なの。一番よく使うのは、MMORPGで、敵が誰を攻撃するのかってことなの」


 ののかが僕が話そうと思っていたことを話してくれる。任せよう。


「誰をってどういうことだ?」


「ヘイト、つまり憎しみよね。敵視とも言うわ。誰をというのは挑発行為をしてくるキャラということなの。ゲームによってブロッカー、デイフェンダー、タンク、ヘイターなどいろいろ呼び方が違うけど、いかに敵を引きつけるか。味方に攻撃がいかないようにするか。ヘイト管理が大切なの。FPSだと先頭切って突っ込んで、敵陣で暴れて敵の注目を集めることをヘイト集めって言ったりするわ」

 ののかは、オタク特有の早口でしゃべる。

 トウヤがポカーンと口を開けている。

 トウヤは全然ゲームしないもんな。


「他にはね。課金ゲームで、課金アイテムを売っているキャラにわざと嫌われていいキャラを採用したりするのもヘイト管理ね」


 それは僕も知らないぞ。


「ののか、なにそれ?」


「悠久も、知らない? 課金集めって嫌われるじゃない? だから、課金を促すキャラを前作のボスキャラとかにするの。そうすることによって、『こいつに金払うの憎たらしい。でも、こいつ世界を滅ぼそうとしたボスよね……それに比べれば、真面目に働いてるわね……』とプレイヤーに思わせることができるの」


 ボスが人気って、子供向けのゲームかな?

 僕も、ののかに付き合ってぐらいしかやらないので、あまり知らないんだよね。


「上級テクニックだね」


 普通はガチャ系のソシャゲなら無機物から排出されたりして、特定のキャラに結びつかないようにしているのが普通だ。


「ゲームだとそういうプレイヤーがお金を出すときに嫌になりすぎない配慮。ヘイト管理が大切ということだね」


「つまり悠久がどれだけ暴言吐いても、嫌われキャラだから問題ないってことだろう」


「トウヤ、よくわかってるじゃないか」


「皮肉で言ってるのに、堂々と認めるなよ。お前そのうち本当に刺されるぞ」


「僕を刺せるやつなんていないよ」


「お前本当に自信家だよな」


 僕らが言い合いしている隣でレミちゃんは感心していた。

「ヘイト管理っていろいろあるんですね」


「うん。そうなの。今度家に遊びにきたとき、ゲームしながらもっと詳しく教えてあげるね」


「はーい! お願いします」


 ののかは満足したのか自分の席についた。


 僕は改めてホワイトボードに


・ヘイト管理


 と書いた。


「悠久、今日はゲームの話をするのか」

「いや、僕が話すのは、もちろん小説をかく上での話だよ」

「まあ、そうだよな」


「例えば時代劇では、おわぁ」


 また、ののかに突き飛ばされた。


「時代劇で、ヘイト役といえば悪代官よね。勧善懲悪型『弱きを助け、強きを挫く』がモットーの時代劇において、主人公の行為を正当化させる引き立て役が必要なの」


 ののかが話してくれている間、僕は、テンプレをホワイトボードに書く。


・時代劇のテンプレ

『お主も悪よのう』

『お代官様ほどでございませんよ』

『話は聞かせてもらった』

 ガタッ。

『何奴!?』


 ののかがホワイトボードをバンバン叩く

「これがヘイト管理なの!」

 興奮しすぎじゃなかろうか。 


 僕が書いたんだけどなぁ。


「なにがどうヘイト管理なんだ?」

 トウヤはよくわかってない。

 しっかり管理しているからこそわからないとも言える。


 息が上がって、頬が上気していてなんだかエロいののかを押しやって、

 僕は説明を引き継ぐ。

 

「トウヤ、この短い会話のやりとりよく考えてみろ」

「何がだよ」

「主人公側は悪代官の家とはいえ不法侵入してるだろ」

「確かに」

「しかも、このあとチャンバラして悪代官を斬り伏せるんだぞ。殺人じゃないか」

「本当だ」

「とまあ、主人公側にも非があるはずなのに、それには一切気づかせないようにする。これが物語におけるヘイト管理だよ」


・読者に主人公側の非に気づかせないようにする。


「あとは単純に悪い奴を倒すとスカッとする」


・敵を倒した爽快感が得られる。


「敵にヘイトが集まれば集まるほど、いいってことですね」

 レミちゃんが嬉しそうに言った。


「そういうこと。下手に、『これも臣民も思えばこそ』とか言ってる悪代官を倒しちゃったら寝ざめが悪いだろう。ストレス発散のために小説を読んでいる人向けの小説であれば、ちゃんと悪役は最後まで悪役にすることが大事だね」


「今例あげたけど、敵側にも事情があるといった話をすることによって、ヘイトを発生させないようにして物語を上品にすることもできるんだ。自分が目指す物語をどうしたいかによってヘイト管理をするのが大切だよ」


・ヘイトを発生させないによって物語を上品にすることもできる。


「で、次は物語自体のヘイト管理だね」

「物語自体ってなんだよ」

「時勢読みっていった方がわかりやすいかもしれないね」

「どういうことだよ」

「例えば、パンデミックが起きている最中にパンデミックの物語を書いたらみんなはどう思う」

「まあ、不謹慎と思うよな」


「そう。その通りなんだよ。別にさ、現実の話ではないんだから、物語はどんな内容をいつか書いたっていいんだけどさ。人気を出したいのであれば、そのあたりも気を付けたいね。特に現実世界での災害が起きてるときに、同じ題材の物語を取り扱うときは要注意かな」

「なるほどな」


「でも、気にしすぎるのもよくないよ」


「どういうことですか?」

 レミちゃんが首をかしげる。


「どういった物語を書こうかなと考えてる最中は、避けた方がいいけれど、もう書き出してしまったあとに災害が起きたのなら、書ききった方がいいってこと。折角いいアイデアだったのに控えてしまったがために他の人に先を越されてしまったとかになってしまったら、泣き寝入りだよ。どうせどんな人気作家だってアンチはいるんだからさ。アンチがちょっと増えたぐらい気にしない気にしない」


「お前本当に面の皮厚いよな」


「僕はそうかもしれないけどさ。最初からアンチが増えそうだなと心構えがあるのと、何も心構えがないのだと全然違うだろう?」


「そうかもな」


「ヘイト『管理』、無意識ではなく意識的にコントロールできるようになることが大切だってこと」


「わかったよ」


「さて今日のまとめだよ」


〇ヘイト管理

・悪役側にヘイトを集めることによって、主人公側の非を感じさせないことができる。


・悪役側にヘイトを高めれば高めるほど、敵を倒した爽快感が得られる。


・悪役にヘイトを集めすぎないことよって物語を上品にすることもできる。


・現実世界でヘイトが集まっている話題で物語を書くとアンチが増えるので要注意。

 ただし気にしすぎるのもよくない。


 重要・意識してヘイト管理できるようになろう。

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