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夢見る僕らの文芸活動(小説書き方小説)  作者: 名録史郎
どんな物語を書くのか
19/61

後悔昇華型ジャンル選定法


「あーあ、こんなに小説書きたくなるんだったら、悠久みたいに昔から小説書いておけば良かったよ」


 書くのに行き詰まったのか、トウヤがそんなことを言った。


「いうほど僕も昔から書いてるわけでもないよ。書き始めたのは、高校からだしさ。書き始めたのだって、ののかの影響だからなぁ」


 そんなののかは、最近ゲームばっかりしてる。

 動画配信する方法を覚えたらしく、忙しそうだ。

 小説書くのも変わらず好きだそうだが、時間がとれないらしい。

 人生やりたいこと、なんでもできるわけではない。


 ただトウヤは不満そうだ。


「そうはいっても、小さい頃から書いてるやつの方が強いだろう」


「そういう人もいるぐらいかな。初めて書いた小説で、いきなり書籍化する人もいれば、何十年書いても芽がでずに、そのまま死んじゃう人もいるよ」


「夢も希望もない言い方だな」


「小説家は、夢をみせるために書くのであって、現実なんてそんなもんだよ。そんなことより」


「そんなことで、終わらせないでくれ……」


 僕はトウヤの嘆きを無視して、話をすすめる。


「そんな悩めるトウヤが書けるおすすめジャンルがあるよ」


「本当にお前は、創作ばっかりだな。もちろんありがたく聞くけど。なんだよ。そのジャンルは」


「言い方はいろいろあると思うんだけど」


 僕はホワイトボードに書いてみせる。


○後悔昇華型ジャンル


「自身の後悔を昇華させて書くジャンルだね」


「後悔昇華?」


「よく人生のチャンスは、三回訪れるといわれる」


「ほう?」


「大体の人間は三回とも失敗する」


 トウヤは、ガクッとうなだれた。


「だから、言い方があるだろう」


「つまり、大体の人間は後悔を抱えて生きているからね。後悔を満たしてあげるジャンルは需要が大きいんだ」


「それはその通りかもしれないが……例えば、どんな後悔があるんだ」


「一番多いのが、トウヤが言ったやつだね」


◇若いとき努力しておけばよかった。


「圧倒的にこれが多い。努力したからって、成功するとは限らないけど、努力した方が成功する確率が上がるのは、確かだからね。そういう想いが強い人にむいているのは、こんなジャンルかな。具体的だと」


・転生系(特に赤ん坊、幼児期)

・強くてニューゲーム

・人生二周目

・巻き戻り系


「自分が、後悔している時期から、努力する物語を書いてみるといいと思うよ。あと基本は、努力した結果敵よりも優位に戦っていける話を最後まで展開するといいかな。赤ん坊が努力なんてできるわけないから、まあ、チートなんだけど、努力したって過程があるから、ギフト型のチートより、卑怯感がなくなるのが特徴かな」


「確かに、努力したら、良い人生が手に入ると思っている人に刺さりそうだな」


「次に多い不満がこれだね」


◇結婚してみたら、相手が理想と違った。


「99%の人にとって、結婚は人生の墓場だからね」


「ののかちゃんが聞いたら泣くぞ」


「泣くわけないだろう。僕らは、残り1%なんだから」


「お前は、本当に最低なやつだ」


「まあ、トウヤも1%に入ってると思ってるから」


「ありがとう。いや、いいわけじゃないか……。それで具体的にはどんなのがあるんだ?」


・婚約破棄


「やっぱり、これだね。自分の嫌いな配偶者に見立てて、そいつに婚約破棄宣言させて、理想の彼を出現させて、ざまぁする。現実は、子はかすがいだから別れられないことが大半だからね」


「悠久、普通は子はかすがいって良い意味で使うからな」


「相手のことが嫌いでも、自分から別れを切り出すのも、嫌だっていう願望も叶えられるからね。女性向きのジャンルだよ」


「お前にかかると、婚約破棄が流行ってるのは、そういう理由になるのかよ」


「逆もあるよ」


◇告白しておけば良かった。


「まあ、告白したところで、相手が振り向いてくれる可能性なんてほぼないかもしれないけど、0ではなくなるからね」


「悠久の不謹慎には、ツッコミ疲れてきたぞ。えーと、ハーレム系とかが該当するか?」


「それは願望型、非モテがモテたいという願望を満たすための物語で、後悔昇華型とは違う」


「どうちがうんだ?」


「例えば、過去を思い出して、『あのとき、あいつの気持ちに気づいてやれたら良かった、そしたら今頃幸せに暮らせたはずなのに』みたいな雰囲気をだす必要がある」


「ああ、二週目系に恋愛要素多めにする感じか」


「そうそう。トウヤもわかってきたね」


「そう思うと、過去の後悔も物語を書く糧になるんだな」


「人生は後悔ばっかりだから、書くことには事欠かないよね」


「でも、そんな言葉で締めくくらないでほしい」


「さあ、まとめだよ」


○後悔昇華型ジャンル選定法


後悔1:若いとき努力しておけばよかった。

対象ジャンル

・転生系(特に赤ん坊、幼児期)

・強くてニューゲーム

・人生二周目

・巻き戻り系


後悔2:結婚してみたが、相手が理想と違った。

対象ジャンル

・婚約破棄


後悔3:告白しておけば良かった。

・人生二周目(恋愛要素多め)

・巻き戻り系(恋愛要素多め)



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