自己趣味型ジャンル選定法
「さあ、次は世間の流れなんか全部無視して書く方法だよ」
「さっきは流行に乗っかれって言っただろう! 言ってること違うじゃないか」
「だれも乗っかれなんて言ってないだろう。流行に乗っかったら読んでもらえるよって言っただけだろう。それに、他人の心なんて読めるわけないじゃないか。趣味趣向なんて想像してもわかるわけないよ。自分の好みを突き詰めてなんぼだろう」
「おい二枚舌やろう。俺はお前の気持ちがいちばんわからないぞ」
「普通小説家なら、登場人物を沢山出すんだぞ。この考え方が絶対なんて思って書いたらダメなんだよ」
「それは、そうかもしれないが……」
「トウヤは、部活掛け持ちだよね。なにやっていたかな?」
「わざとらしいな。空手だよ。知ってるだろう」
「よし、じゃあ、空手を題材にした小説を書こう」
「そうやって、ジャンルを決めるのか。なるほどな」
「ちなみに、スポーツ系は小説にするのが難しい」
「おおい。そんなの勧めるなよ」
「でも、トウヤなら書けるかもしれない」
「ああ? どういうことだよ」
「小説家は、体験したことしかかけない……わけではないけれど、体験したことの方が書きやすいのは確かだよ。僕は空手のルールすらしらないから、書こうと思うとルールを調べるところからになる。やったことないから、試合中の細かい駆け引きをどのようにしたらいいかもわからない」
「それは、そうだな」
「それに、マイナージャンルで書くと被ったりすることが少なくなるからね。独自性がでるよ」
「なるほどな。それで読まれるのか?」
「読書家は、空手なんて興味ないから、読まないんじゃないかな」
「お前、いい加減にしないとぶん殴るぞ!」
「空手家が、人に手をあげたらダメだろ。でも、トウヤは空手好きだろう」
「そりゃな、そうじゃなかったらやってないよ」
「金儲けを考えてやっていたのか?」
「なんで小学生の頃からやってるのに、金儲け考えないといけないんだよ」
「誰かに認められたかったからやってたのか?」
「まあ、勝ったら嬉しいけどな。別に誰かに認められたいからやっていたわけじゃあない。単純に楽しかったからだ」
「楽しかったからね。いい言葉だね。楽しいことを題材にしたら、その気持ちで書けるだろう」
「確かにそうだな」
「小説ってね。言ってもエンタメ。人を楽しませてなんぼのことだからね。人に喜んでもらいたいという気持ちがあるんだよね」
「ん? それはいいことじゃないのか」
「まあ、そうなんだけど、人に喜んでもらえると思って書いたものでも、全然喜んでもらえなかったり、逆に人を怒らせたりすることもあるんだよ」
「アンチとかよく聞くもんな」
「そうなると、結構心が病んで、筆を折る人が多いんだ」
「そうだな。俺の場合は、どんなに下手でも、お前らが読んでくれて、ここは面白かったとか、上手くなってきてるとか言ってくれるから、書いていられる気もするしな」
「そう言ってくれるのは、うれしいね。だから、楽しく書くっていうのは重要だよ」
「楽しいこと×楽しいこと=最強ってことか」
「そういうこと。書くことを仕事や、努力と考えながら書くと、やっぱり辛くなってしまうからね。遊びだと思って、気楽に書いてみるのが、文章力をあげるときはいいよ。もしかしたら、ものすごい傑作が出来上がって、よんでもらえるかもしれないよ」
「そうだな。気楽に空手を題材にした小説も書いてみようかな」
「人生も小説書くのも楽しんだもん勝ちだよ」
まとめ
・小説は楽しんで書こう!