帰路の途中に
頬を刺す、何処かの冷たい昨日の風。
真っ暗い寒空で立ち止まった自転車。
後ろから追い越していく自動車。
ヘッドライトに当てられて、伸びた影と前からすれ違う。
それはちょっと髪が逆立っていて、地面の形に合わせてゆがんだ。
汗さえかきそうなぶあついジャンパー。
防寒具の役目を果たさない手袋。
存外無防備になる足元。
ひびが増えていく唇。
あんまり開けない目。
詰まる鼻。
赤い顔。
スマホのカメラじゃ映らない星空。
スマホのカメラじゃ映らない電線。
審美眼の働くアングル。
白い吐息に塗れながら、それがわたしの好きな夜。
どうも、瑪瑙です。
満足していただけたら嬉しいです。