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分かったことと分からなかったこと

僕は少し足早に自分の部屋に入った。

「あら、坊っちゃま。どうされました?」

部屋に入ると僕付きの侍女のルイザが部屋を整えていた。

「ルイザ、姉様が起きたよ。でもちょっとまだ本調子じゃなさそうなんだ。」

「あら、それは心配ですね。」

「うん。今着替えてて終わったら一緒にお茶飲むから僕の分用意して。」

「承知致しました。では用意できましたらお呼び致しますね。」

「うん、お願いね」

僕はルイザを部屋から離して早速精霊達と情報共有をする事にした。


「早速だけど、フウカはいつから姉様に付いてたの?」

僕がソファに座って姉様の精霊にたずねると、フウカとアリエスはソファの肘掛けに左右に別れて腰掛けた。

(われがリーナを見つけたのは今朝のこと。最初は起きるの待っておったのじゃぞ?なのに一向に起きる気配がないではないか。じゃからちょっと無理して意識に干渉して、ツバつけたのじゃ)

腕を組み、ふんっっと胸を張ってドヤ顔でフウカが答えた。

「えっ、無理して意識に干渉?」

僕が首を傾げて聞くと、ちょっと慌てた様に弁解した。

(待てども待てども起きぬのじゃぞ?われだとて最初は優しく触れたりつついたり前髪を引っ張ったりしてみたのじゃぞ!)

(えーっフウカ、スゴい〜僕怖くてそんな事できないよ!)

アリエスが驚いたように相づちをする。

「え、怖いの?何で?」

だって契約者でしょ?

別に捕まえられたりする訳じゃないし、それくらいのイタズラ、僕だって姉様にした事はある。

だから不思議に思ってアリエスに聞いてみる。

そしたらあきれた顔して答えられた。

(だって寝てる時にそんな事したら突然手が飛んでくるじゃん!あれ、ものすごい早い時があってびっくりするんだよ!)

まあそりゃ、寝てる時に顔がモゾモゾしたら手で触るなぁ。うん。

(じゃがリーナは鼻をつまんでも動かんかったのじゃ。こりゃおかしいと無理もするじゃろ?)

(ああ〜確かにリナリア、変だったもんね。濃かった。)

フウカが困った顔で同意を求めると、アリエスも、うんうんとうなずいて言う。ってか、

「それだよ。」

((ん?))

僕の言葉に精霊2人が首をかしげて聞き返す。

シンクロしてるな〜


「濃いって、何が濃いのさ?」

(リーナは変なのか?)

僕の問いにフウカがちょっとズレた質問をアリエスにパスする。

(うんうん。昨日までは普通だったはずなんだけど、さっき見たら濃くなってた。ユーリより濃いんじゃないかな〜)

うーんっと目をつむって腕を組み、何かを思い出すようにアリエスが答える。

「え、僕も濃いの?」

姉様どころか僕にまで飛んできたぞ?

どうゆう事だ?

初耳の事に若干混乱しながら聞いてみると、当たり前だって顔してアリエスが答える。

(濃いよ。だから僕ユーリと契約したんだもん。)

今更何言ってるの、的な返事が来た。

(うむ、確かにそなたも濃い清気を持っておるな。)

フウカも僕を見てうむうむと嬉しそうに相づちをする。


えーっと、つまり…

清気。

清い気。

精霊にとって居心地が良いとされている気配。


ああああ〜なるほど。

精霊にとっては濃い清気は居心地が良い場所。僕の清気は濃い。

だから小さな頃からアリエスが側に居たんだ。

で、

昨日までは普通だった姉様が、今朝には精霊がちょっと強引に契約したくなるほどの清気を持った、と言うことなのかな。

なるほどなるほど。

疑問の一つは解決した。

では、

何故姉様の清気が濃くなったのか?

(そんなのわしにわかる訳ないじゃろ)

フウカが当たり前って顔して言う。

(わしが見つけた時にはもうあの心地よい気配じゃったんだから。)

うっとりとして言われた。

まあ、そうだよね。


あとは一番重要な疑問だ。

これ、マジで重要。

「じゃあさ、姉様がここが何処で自分が誰かも分からないって、僕の事も分からないって言ってたの、それはどうしてなの?」

僕の事も分からないって言った時、胸がキュッてなった。

知ってるなら教えて欲しい。

でもそんな願いも届かず、

(それは知らんぞ)

知らないって答え、えええええ〜

泣きそうな顔した僕にアリエスがちょっと慌ててフォローしてくれる。

(僕らには分からないけど、僕が思うに、突然濃くなった事が関係してると思うんだ。)

(じゃが、そんな話聞いた事無いぞ)

フウカ、すぐにアリエスのフォローをぶち壊すのやめて〜泣いちゃうよ。

しょんぼりする僕に気付いてフウカがバツの悪そうな顔をする。


コンコンッ

空気が重くなった時ドアがノックされた。

「はーい」

返事をするとルイザが入ってきた。

「失礼します。坊っちゃま用意が出来ました。」

「ありがとう、すぐに行くよ。」

僕はため息をついて気分を切り替える。

はあぁ。

結局わかんないって事じゃんか。

「しょうがない、あとは姉様に昨日何があったのか直接聞くかあ。」

ひとまずわかった事とわかんない事がわかったところで、ソファから立ち上がり、ルイザに付いて姉様の所に向かった。

精霊の事情はなんとなくわかりました。

じゃあ次は姉様の番だっ!

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