何かがおかしい!
適当に考えながら3分くらいで読める軽い読み物にしていこうと思います。不定期連載ですがどうぞ末永く。
1.序
自由に感情を表現できる言葉というものは本当に素晴らしい!そう思えるのは世界がこんなになってしまったからだ。
あの日目が覚めると世界が変わっていた。いや、おかしくなっていたと言った方がいいだろう。前の日まで友人や家族恋人と交わす言葉は人それぞれ様々な表現方法があったが今ではまるで英語の教科書のような会話しかできない。
「私の名前は田中太郎です。」「私は音楽が好きです。」
この様な何の風情も情緒も感じられない頭の悪い言葉しか話せなくなっていた。
あの日目が覚めて台所に向かうといつもなら母親が「片付かないから朝ごはん早く食べちゃって!」と言うのだが耳に入ってきた言葉は「あなたは朝ごはんを食べる必要があります。何故なら私は後片付けがしたいから。」だった。自分の耳を疑った。母親に何変なこと言ってんだと言いたかったが出てきた言葉は「あなたの言葉は変です。」と母親と同じ様な言葉が出てきた。自分が言いたいことがうまく表現できない上にこの変化に気づいているのは俺だけの様だった。目の前の母は俺が言った言葉に何の疑問も持たずに「あなたは早く朝食を食べなければならない。」と捲し立ててていた。
ー何だこれ何だこれ何だこれー
頭の中で響く短い言葉が俺の意識を奪っていくのであった。
目が覚めると見慣れた天井が見え自分の部屋にいるのだと認識するのに少し時間がかかった。夢であればといった淡い願いは簡単に砕かれその日は学校は休んで家に居たが、会話の違和感に慣れず早々に部屋に閉じこもって布団にくるまって夢であれと再度願いながら眠りに落ちた。次の日に目が覚めてやはりこれは夢ではないと再認識させられた時点で俺はその場に膝から崩れ落ち床を叩いた。頭の中に浮かぶ悪態を口に出そうとするが出てくるのはおかしなおかしな言葉だけだった。その様子を見て母が心配そうに何かを言いながら俺を起こすが耳には一切入ってこなかった。学校に行けば何かがおかしいと気づいている友人がいるかもしれないと思い急いで支度をし学校へ向かうのであったあった。