お菓子屋さんにお手紙を書きました♪ 【胸糞注意】
後味の悪い作品です。お読みになる際はご注意ください。
新しいお菓子屋さんができた。
試しに行ってみると大盛況。
これは無理だなぁと思って引き返したら、娘がチラシを見つけてしまった。
「行きたい! 行きたい!」
始まったよぉ……行きたい攻撃。
仕方なく娘と二人で行くことに。
夫に車で送ってもらい、列に並んで順番を待った。
店内は販売スペースのみの小さなお店。
ショーケースにはケーキがたくさん並んでいる。
「これとこれ下さい!」
娘が商品を指さして言う。
「……はい」
店主と思しき女性はとても不愛想。
ケーキはとてもおいしかった。
娘も満足したようだ。
しばらくして、お菓子屋さんの悪い噂を聞くようになった。
アプリで評判を見ると、☆が3を割っている。
味は良いけど愛想が悪い、態度が最悪。
と言ったレビューがちらほら。
んなこと娘には関係なくて、また行きたいと駄々をこねる。
仕方なく連れて行くんだけど……行くたびにやつれてくんだよね、店主。
んで、やっぱり何かあったのか、お店は休業することになった。
娘はそれを聞いてぎゃんぎゃん泣きわめく。
埒が明かず困っていると、夫がこんな提案をする。
「お手紙でも書いてみれば?」
娘は「かくぅー!」と大喜び。
100均で買った便せんにお手紙を書いて、可愛いキャラクターの封筒に入れた。
翌日。
手紙を届けに店へ。
店の前には休業の看板。
これは無理かなと思ったら、店主が出て来た。
髪はぼさぼさ、スウェット姿。
「あの……」
「なんですか?」
ピリッとした空気。
これやべぇと思って帰ろうとすると……。
「おてがみー!」
娘が手紙を差し出してしまった。
店主はそれを受け取り、中の手紙を読む。
そして……
びりびりびりびり!
娘の前で破り捨てた。
「こんなものでどうにかなると思うのか!
いい加減にしろよ!」
烈火のごとく怒りく狂う彼女は明らかに異常者だった。
泣きわめく娘を抱えてダッシュで逃亡。
帰還したら夫に状況説明。
「おい……お前どうした?」
夫に肩を抱かれてようやく気付く。
私は気づかないうちに涙を流していたのだ。
それから……娘は軽くダウン。
私も家事が手につかず、何もできない状態に。
幸いにも母と義母が手助けしてくれたので何とかなった。
でも……。
「もうケーキいらない」
娘はケーキ食べなくなった。
義母が作ったおはぎは喜んで食べるのにね。
何がいけなかったのか、あの人に聞きたい。
娘の手紙がそんなに嫌だった?
『はやくげんきになって
おいしいけーきを たべさせてね
おしごと がんばってね
ずっと まってるよ』