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ヘラルクとひとつになった私は、王都を急襲し、衛兵をぶちのめし、王城に殴り込んでイログールイ王子をぼこぼこにしてから城壁に逆さ吊りにした。
逆さ状態から腹筋が100回できるようになるまで解放しないという約束だ。
もちろん、逆さ吊りのままでは死んでしまうので、適宜休憩を挟ませつつ、適切な栄養を含む食事を与えてきちんとした筋肉を育てられる配慮はしている。
なお、逆さ吊り腹筋を終えたら次のメニューが待っている予定である。
ネトリーについては、魔術師に命じてこれから一生プロテインをまぶした食事しか食べられない呪いをかけた上で国外に追放した。
プロテインというのは一気に飲めばなんなら美味しいまであるが、無理に食事にかけたりすると地獄の味となる。
帰る先は彼女を送り込んだ他国しかないだろう。
そこで彼女がどんな境遇になるかは簡単に想像できるが、そこまでは私の知ったことではない。
私がヘラルクに求めた「報酬」とは、ヘラルクの筋肉であった。
あの美しい筋肉とひとつになりたかったのだ。
契約を遂行し、ヘラルクの筋肉を手に入れた私は、その力をもってクーデターを成就させた。
これから我が国は、王政も貴族制も廃する予定だ。
ただ純粋に、美しい筋肉を持つものが上に立つ、平等な筋力主義社会を作り上げていく。
そんな決意を胸に秘めつつ、私は今日も己の肉体美を鏡に映しながら、筋肉に向かって愛を語りかける。
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