3.マイホーム
女神デエスが用意した家と聞いた時は、凄く、もの凄ーく不安だったけど、外観を見る感じ杞憂そうだった。
ザックリと説明すると、お屋敷を家サイズにした感じと言えば伝わるだろうか?一人で住むには少々広すぎるが、将来は結婚をする可能性があるため狭いよりかはいい。そもそも人と出会えるのかも不明なんだけどな……。
それではお楽しみのマイホームの中を見てみよう。当然ながら最初は玄関からだ。玄関は家の顔と言われるくらいだから、ここでテンションが下がるようでは内装に期待がもてない。外だけ綺麗で中は汚いとかって落ちはやめてくれよ。
「ではでは御開帳……おぉ!スゲェー!」
玄関を開けると、視界には奥へと続く廊下が飛び込んできて、2階に上がる階段もあった。特段玄関について語ることはないが、ちゃんと靴箱があり、出かける前に身嗜みを整えるための大きな姿見が壁に付けられていた。外観と同様、中は白を基調としていて清潔感が溢れていて素晴らしい。
とりあえず1階から順次回って行くか。マンション暮らしだったせいで玄関からリビングまでの廊下が長く感じられる。正面と横に扉が二つあるが、きっと正面のがリビングへ繋がるやつだろう。そう思った俺は真っすぐと進み、ドアノブに手をかける。いざ、リビングへ――。
「――――ッ」
やばい、想像以上にこれはやばすぎる。驚き過ぎて言葉が出ない。一体何畳あるんだってくらい広いんだが……ここリビングだよな?
キッチンからリビングどころか、外が見える様にバカデカイ窓ガラスがある。外にいる時にはしっかり見てなかったが、ウッドデッキまである。海を眺めてゆったりするのも悪くなさそうだ。
それに加えて一体何人で食事するんだってくらいデカイテーブル、しかもテーブルって脚が4つが普通なのにこれは脚が1つしかない。さらに俺の知識が間違ってなければ、これ大理石じゃないか!?
大理石のテーブルに負けない存在感を放っている椅子もきっと有名ブランド家具―――カッ○ーナとかアル○レックスだったりしないか!?一般人の俺でも知ってるくらい有名な高級家具ブランド名だけど、実際に見た事はないから正しいかは不明……だが、間違いなく安物ではない事だけは確かだ。
大理石テーブルの横にはこれまた何人用だって言いたくなるソファ。そして50インチは越えているだろうテレビ。ソファとテレビの間にあるローテーブルも恐らく大理石。こんな凄い家に住めるって本当信じられないわ。
「はぁーこのまま寝れるわ」
驚き疲れたこともあり、休憩しようとソファに体を預ける。その触り心地も然ることながら、座り心地はまさに至福。俺が今まで座っていたソファは何だってくらい極上な座り心地だ。
「幸せだぁ……」
ソファが俺を離してくれないって錯覚してしまう程、ここから動けない。だがまだ見てない所がいっぱいあるため、断腸の思いで腰を上げ、向かう先はキッチン。
と、その前にキッチン近くに家庭用ウォーターサーバーがあった。これだけ凄い家ならばあって何ら不思議ではないが、その隣に在るものに対しては足を止めざるをえなかった。
ウォーターサーバーの大人版とでも表現出来なくはない、その名も家庭用ビールサーバー。今時の家には普通に置いてあるのか?いやまぁ知識としては知っていたけどさ、缶や瓶ビールでよくないかって思ってしまう俺からすれば驚愕の代物だ。全部見て回ったら飲もう。
さてさて気を取り直してキッチンへと移動。短時間で見慣れてしまった大理石。キッチン用だから恐らく人口大理石だろうがそれでも凄い。シンクも広く、俺の知ってる蛇口ではなくオシャレな蛇口が取り付けらている。しかも食洗機まで置いてあった。至れり尽くせりかよ。
「本当に一人暮らし用の家なのか?」
しかもガスコンロではなくIH。まぁまぁIHくらいは普通の家庭でもあるくらいだからいいとして、コンロが3口あることも多少は理解できる。オーブンはコンロと一体型で色んな物が作れそうだ。
その後ろには何人分の食器を置くんだってくらいの食器棚。ご丁寧に食器まで揃っていて、今までの流れからして間違いなく1枚1枚が高価だろう。そして見るからにデカイ大容量冷蔵庫。両開きできるタイプで何をそんなに入れるんだってくらいの大きさ。何度も言うがこれが一人暮らしの家っておかし過ぎだろ。
「まだ1階なのに違う意味で疲れたな」
他に1階にありそうなのはトイレや風呂くらいか?2階には寝室や書斎、それと何かしらの部屋がきっとあるはず。このレベルの家ならどれも期待が持てる。
その前にリビングに入る前にスルーしたもう一つの扉へと向かう事にした。
「ここは洗面所か」
扉を開くと洗面台があった。2人並んでも狭くない広さがあり、ここの水回りもオシャレで洗顔で使うクリームなどを置くスペースもある。場所さえ気にしなければ化粧台としても使えそうだが、俺には関係ないかな。
洗面台の左右にも扉があり、右側を開けるとトイレがあった。足を踏み入れると自動で便座が開き、思わず声を上げてしまう俺。まさか自宅のトイレで体験するとは思ってもみなかった……トイレにしては広すぎるし、狭いトイレに慣れてるせいで何だか落ち着かないな。
左側は予想通りお風呂場だった。脱衣場からして広く――さっきから広いとか大きいばっかり言ってるな。そしてここにも鏡が置かれている。
お風呂場を覗くと、鼻を擽る匂いがした。
「まさか檜風呂か!」
落ち着いた色合いのタイルと壁。そして檜が使われてるであろう浴槽は、余裕で三人は入れそうだ。ん?何か色々なボタンがあるな。
「これはあれか?ジャグジー風呂とかジェットバスとか水が光ったりするのか?」
今夜から楽しみで仕方ない。ちゃんとボディソープ何かも揃っていてわざわざ買う必要もない。これも高級な物だったりするのか?まぁ使って見れば分かるか。
「さてと、これで1階はザックリと見て回ったからお次は2階だな!」
階段を真っ直ぐ登ると1階と同じ長さの廊下と4つの扉が見えた。手前から順に見ていくとして、まずは左側から開けると――。
「ここは応接室か?」
10畳以上はありそうな部屋で奥にデスクがあり、手前には2つのソファとその間にローテーブルが置かれている。応接室って普通1階とかにあるのが多いから書斎部屋ってことか?いや現代日本において応接室なんて一般家庭にあるのか?
特段語る事はないが、まぁここも高級そうな物ばかりだった事は間違いない。
そのまま部屋を出て目の前――廊下の正面から見れば右側手前の扉はトイレだった。パッと見1階のトイレと同じ様な造りをしていて、さすがに2度目は驚かなかった。
次に向かったのは左側奥の部屋。中に入ると、目に飛び込んできたのはキングサイズくらいはあるベッド。試しに寝転がると――。
「おぉ!凄い寝心地!」
ベッドと体が一体になるって言うか、包み込んでくれるとでも表現すればいいのか、快眠間違いなしだろうってくらいの寝心地だ。しかし何故に枕が2つ?これはあれか?女神の奴が独身である俺に対しての嫌がらせなのか?それとも参考にした部屋に住んでいた人は2つ使っていたのか?まぁ考えても答えは出ないから、いつもの残念女神とでも思っておこう。
それから男の俺には関係ないが、ベッドの横に化粧台があった。引き出しの中には化粧道具と思われる物があったが、見ても分からないからスルーだな。
閉めきっていたカーテンを開くと美しい海を眺めることが出来た。側面の壁部分が全てガラスになっているため、見える景色が段違いでまさに絶景、海辺の別荘にでもいる気分だ。まぁ実際はポツンとある孤島であり、俺がいるからぎりぎり無人島じゃないだけなんだけど。
最後の部屋を見てみるかと思って部屋を出ようとしたら、入ってきた扉とは別にもう一つ扉があった。そこを開けるとクローゼットが――いやこれはもしかしてあれか!クローゼットの奥に続く扉を開けると、1階と比べると小さいがそれでも一般家庭よりは大きいお風呂場。つまりここはウォークスルークローゼット。まさかこんなのまであるとは畏れ入った。
「残念女神だと馬鹿にしていたが、これは足を向けて寝れないな」
女神のいる場所はきっと天国とか天界、つまりは上だからそっちを向けて寝る事はないけどな。
残る最後の部屋は空室だった。自分好みにカスタマイズしてくれってことか?一人では十分過ぎる程の広さを誇るため今の所は使い道が思い付かない。これだけ広いと掃除だけでも一苦労だ。
「前世とは比べられない程、贅沢な暮らしができるな。ただこんな凄い家に一人で住むのがやけに寂しく感じるのはきっと気のせいだろう……」
早く船を買えるくらいDPを貯めて人に会いたい。それか偶然船が通りがかったりしないかな。
ざっとだが家の中は全部見て回ったかな。少しずつこの暮らしに慣れていってDPで買える物に目を通していこう。
これから俺の第2の人生が始まるんだ!!
実際にみた訳ではないため作者自身が思ったすごい家ですので、なにかおかしな点がありましたら感想にて教えていただきたいです。