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愛の歌  作者: Dust
4章
95/184

92話

全てを覆わんとする炎が、たった一つの身体へと襲いかかる。

世界すら焼き払う炎。

避ける事は許されない。

炎に、その影すら包まれて消えた。

眩い閃光が辺り一面に広がり・・・

炎が弾け飛んだ。

焼き尽くされる筈の男―舜の姿はそこにあった。

『何故・・・っ!?』

ほんの少しの戸惑い。

(クトゥルフの力か―!)

舜の言動により、思考がロックされていたと気が付くまでの間に。

背後へ回った舜に大地へと蹴り落とされた。


舜はその場から地面へと1発殴り込み、その風圧で身体を宙に残しながら、クトゥグアを更に地面へ押し付ける。

更に舜はもう1発構えるが―

『させぬっ!』

緑の身体に赤き血が模様のようにまばらについている青龍が動く。

邪魔されるのを分かっていたからこそ、その場から仕掛けていたのだと言わんばかりに舜は青龍の方を向いた、が。

「こっちは任せて!」

リビが青龍の前に飛んで立ち塞がる。

『邪魔だ!主では我を―』

「あはっ!効かないと思っていたんだ? ・・・ざんねん。」


青龍は辺りを見回す。

真っ暗な世界。一瞬何も無いように錯覚する。

だが、違う。

真っ暗になるほど、何かが蠢いている。

カツンという音と共に、リビが歩いてくるのが見えた。

「おかえり。」

『・・・。』

青龍は警戒して黙ったまま、神経を集中させる。

「警戒は、要らないでしょ?だって、ね。」

リビの目は妖しく、赤の光に代わる。

『たかが人間と我が・・・。』

「人間じゃないから、効かないと思ったんだ。ふふ、リビは分かりやすくていいね。」

『そうだ、我は・・・。・・・?・・・・・・。』


何故、変な考えをしていたのだろうか。

2つの人格を作って敢えて話させてるような気分だった。

『我に何か?私よ。』

「ええ、我さん。私なら、分かるでしょ?あなたがしようとしていたこと。」

ああ、なんて愚かな事をしようとしていたのだろうか。

『あの方を・・・傷付けるようなんて・・・そんな許されないことを・・・!』

「・・・それに、私の悩みも、知ってるでしょ?」

頭の中に苦痛が、苦悩が、一気に押し寄せる。

もんどりうって、暴れ回って、それでもなお落ち着く事が出来ず。

『―――――――――!?』

言葉にならない悲鳴をあげ―



青龍は地面に倒れていた。

『・・・助けて・・・誰・・・誰・・・?』

うわ言を言いながら。

涙を流しながら。

精神を壊しながら。

「・・・あとは頼んだよ、舜ちゃん。」

そんな言葉が空間から聞こえた気がした。

風が、ゆるりと吹いた。

倒れている青龍だけが、そこにいた。


(何が・・・。)

うっすらと意識が戻ってくるのを感じる。

身体の激痛と、溢れる魔力。

しかし、その魔力の主の力の低下が呼び起こしたのであろうか。

『レイガ・・・共に・・・。』

その意識に気が付いたクトゥグアも呼び掛けてくる。

「・・・そうか。あの男は・・・。」

意志の力が増えていく。

「クトゥグアよ、俺に従え―!」

『ええ・・・全ては・・・。』

『「セカイの為に!」』


「まだ何か・・・。」

追い討ちが出来ず、地に降りていた舜は魔力を感じ、警戒しながら距離をとる。

極大の炎の柱が1つ、天を貫いた。

その炎は1つへ凝縮されていき。

レイガの姿が宙へ現れる。

リーンに斬られた左腕の部分だけではなく、右足も炎と化している。

腕や足としての形には保っておらず、純粋な炎で代用されていた。

レイガの周りには炎の輪が幾つもグルグル回っている。


「この世界は、終わってもいい。既に諦めた世界だ。」

レイガの周りの炎が、レイガの体の炎が、その火を強めていく。

レイガ自身の身体をゆっくりと焼き払いながら。

「ただ別の世界でも・・・幸せに暮らせてる世界があればいい。ライガが、父が、母が、俺と笑えている世界があればそれでいい。その為に―!」

ギラりと燃えつく真っ赤になった瞳で舜を睨む。

「セカイそのものすら壊せるお前だけは、この世界を焼き尽くしてでも殺さねばならんのだ!!」

「―それが、お前の想いか。」

レイガの言う事の全てを理解出来た訳では無い。

ただ、その想いの強さを、真剣さを理解した。


だが、だからと言って殺される訳にもいかなかった。

だから、舜はまた魔力を足に込め、最大の速度で後ろへ回りそのまま蹴り飛ばそうとする。

たとえそれが、レイガにとって自身の想いを踏みにじる行為だとしても。

しかし―

「視えている!」

「・・・!」

今までは、この速度に完全には反応されなかった。

だが―レイガはその炎で舜を叩き落とした。

空中で体勢を整えて着地しながら、舜は思考する。

(読まれた・・・としては違う気がする。全体に炎をやって速度を無意識のうちに落とされた訳でもない―。視られていた・・・という感覚が1番近いな。)


レイガを見上げながら、舜は目を見開いた。

手で、それを受け止める。

手が、真っ赤に染まった。

口からゴボリと赤い液体が出ていた。

「それだけ力を使ったのだ。当然魔力は切れるだろう。」

「お互い・・・ね。我慢比べといこうか。」

レイガは更に自身の魔力を高め、己が身を焦がしていく。

舜も先程の事など既に忘れたかのように、魔力を高め集中する。

そして2人はそれぞれの想いのために、全てをぶつけ合わんと構えた。

漣「漣ちゃんだよ!」

雪「雪乃で・・・。」

愛「愛花ですっっっ!!!!!!!!」

漣「うわっ、びっくりした。」

愛「可愛い可愛い愛花ちゃんですよ!さあみんな癒されていってね!」

雪「もしかして最近出番無いことを気にして・・・?」

愛「うっ・・・!」

漣「珍しく舜くん対レイガ組は2話使っても終わらない長期戦の構えしてるしね。私は出てるけど愛花は次いつ出るんだろう?」

愛「くっ・・・その場にいる人の余裕が辛い・・・!でもでも!作者は私の事を普通の少女でどんどんいい女に成長して行かせる予定って思ってるし!」

雪「・・・作者からごり押されるヒロインって好かれにくいですよね。」

愛「なぬを!?」

漣「それではまた次回!」

雪「読んでくれたら嬉しいな。」

愛「嫌わないでね!!!」

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