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愛の歌  作者: Dust
4章
79/184

77話

「・・・?感触が。・・・おっと。」

シィラの魔弾を剣でかき消す。

「無駄にやり合うつもりはないからさ。能力教えてあげる。あたしは別セカイの物質を持ってこれるの。この剣は魔力を完全に遮断出来る。だから諦め・・・っと。」

シィラの更に大きくした魔弾がムスルスの視界を覆う。

「だから無駄だっ・・・。」

ムスルスの振り払った腕が掴まれ、魔弾を顔に撃ち込まれる。


「・・・っ、随分老獪な戦い方をする幼女ね。」

「シィラは21年生きてる12歳ですから。」

「歳上!?」

ムスルスは掴まれてない手で、白くて小さい四角形の物質を投げる。

2人の間に投げられたそれは急速に大きくなるが—

「それはさっき見ましたから。それとシィラは歳下です。」

膨らむ途中、シィラは片腕でムスルスの片腕を掴んだまま、もう片方の腕でその物質の上部分を掴む。

身体が浮くと同時に足で勢いを付け、くるりとその物質の上を回るように飛び越え。

「がぁっ・・・!?」

ムスルスの背中側に飛び降りた。ムスルスの肩からバキッという音がし、持っている剣が落ちる。


「シィラの勝ちです。」

「うるさい21歳!」

ムスルスの首目掛けて切り掛るそのシィラの腕に、ムスルスはふっと何かを吹き付ける。

「・・・っ!・・・シィラは12歳です。」

「身体が痺れてる今でもそこに拘るのね。まあいいか。」

ムスルスは背後にガラスのような壁を置き、邪魔されないようにしてから新たに剣を無事な左腕で握る。

「じゃあね、自称12歳。」



「臨む兵よ、闘う者よ、皆、陣列べて、前を行け!」

デイムのレイピアの周りには9の文字が浮かぶ。

それぞれの文字が時間差でレーザーを放ち、または盾となり、時には別の刃になって襲い掛かる。が—

「おっとっと、気を付けてジャメール。この人厄介だ。」

「オーケイ、シャロン!」

初めて見るその攻撃をしっかりと対処されていく。

「・・・っ、アウナリト兵はそれ程か。」

デイムは2人の攻撃を必死に捌きながら対抗策を思案する。


「そもそも、無理矢理攻撃に使ってるけどその九字って護身の呪文でしょ?」

「話ながら攻撃だなんて、随分余裕じゃないか。」

ふっとシャロンは笑う。

「はい、気が逸れた。」

「っ!?」

いつの間にか、植物がデイムの手足に絡み付き身動きが出来なくなる。

「デイム!」

「来るなターガレス!逃げろ!」

ジャメールがデイムにトドメを刺そうとした所にターガレスが割って入る。

ターガレスの持っていたモーニングスターは簡単に壊され、胸を斬られる。

「・・・浅かった!まだあるぞシャロン!」

「あいあい!」

2人は息を合わせ、ターガレスとデイムへそれぞれ攻撃を仕掛け—




「・・・?」

「・・・どうした・・・んすか?・・・ぜー・・・ぜー・・・。」

何かを感じ取った舜は走りながら背後を確認する。

何とか着いてきてるムルシー、その少し後ろで必死に走ってるシュヘル。そして既に小粒のようにしか見えないほど遠いバスターズ。

「今の・・・れ・・・!?」

急に舜は足を止め、後ろのムルシーは舜の背中にぶつかる。

「わわっ・・・急になんすか?・・・・・・。」

ぶつかったまま、舜にしがみつくようになったムルシーは閃く。

(いや、チャンスっす!この無駄に重いだけだったFカップの使い所!自然に当てて意識させるっす!)


「離れて。」

「・・・え?あ、はいっす。・・・私、そんなに魅力な・・・!?」

しょぼくれようとした矢先に強烈な魔力を感じ、慌てて退く。

そして、目の前には異形が飛び降りた。

下半身は蜘蛛そのものである。

8本足を動かしながら、その身体を動かしている。

そして上半身は人型のナニかであった。

黄の糸のようなもので全身包まれながら、唯一空いてる右目だけが青く光っている。

その上はの身体付きは小柄の女性のようだった。

身体を包んでいる黄色のそれは左目と、お腹の辺りだけ妙に厚い。


そんな異形を見て、舜は息を飲んだ。

そんな事、思うことすら嫌だった。

それでも何故かそうなのだと確信してしまった。

信じたくは無いその気持ちを、僅かな希望を胸に。

その異形と相対する。

「・・・お前・・・・・・。」

その続きを口にするのを舜は躊躇った。

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