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愛の歌  作者: Dust
4章
76/230

74話

「・・・さて。どうしたものか。」

直感、と言うよりは向こうが隠していないと言うべきか。

「本当は撒いてから会う予定だったんだが、全員居ちまうな。」

舜はボヤきながら剣を出す。

「どうした?急に剣なんて・・・。」

シュヘルの言葉を剣がぶつかり合う轟音が止める。

「不意打ちでもすればいいのに。」

「馬鹿言え、踏み台相手にそんな事する奴がいるか、よ!」

鍔迫り合いの状態からライガは剣を振り払う。

舜は少し浮かされた身体をトントンと後ろに下がりながら、片手で構え直す。


舜は1歩踏み込む。

(昨日のでだいぶ剣筋は見せてもら・・・。)

「・・・!」

「どうした?余所見でもしていたか?」

攻撃の為の動作が、ライガの攻撃を受け止める動きへせざるを得なくされた。

「ようやく目が覚めてきたところ。」

「吐かせ!」

ライガの攻撃を止めながら、1歩下がる。

(速くなってる・・・。昨日とはまた覚悟が違う、か。)

打ち合った衝撃で震える剣先を眺めながら、舜は思う。

(知りたい・・・。ライガにここまでさせた何かを。・・・想いを。)

(俺は強い!それを兄貴に見せつける!その為に!!)

「テメェを喰わせてもらうぜ!獅子奮迅!(ネメオス・レオン)



「無駄です。」

怜奈は剣を出し、飛ばす。

消える。

「・・・朧月夜。」

不発。

「万物流転、有為転変。全ての物には必ず終幕の時が来る。だから貴女の魔力を理不尽にも閉ざさせて頂きました。」

怜奈は月を出そうとする。

だが、出ない。


「リライエンスでの行動も全て情報として知っております。それに、貴女の魔力は知り尽くしております故。貴女の魔力では最早太刀打ちできません。」

怜奈はただ無言でマキナを見つめる。

(・・・怜奈様。貴女は昔から人を人として見ていない。その無表情の奥にある凶暴性、私で無ければ大量の死人が出た事でしょう。)

「だから私が貴女を止めに来た。貴女を警戒し続け、観察してきた私なら確実に勝てるから・・・。」



「密度・最大!」

「はは!いきなり最大とは!」

キッソスは身を躱そうとしながら、辺りの魔力を集めてはぶつけ続ける。

愛花の魔弾は魔力をぶつけ続けられながら、進み、進み、緩み、進む。

そのほんの少しのスピードの緩みでキッソスはスレスレのところで躱しきる。

「・・・。」

(来たか!)

愛花はただ殺意を持って手を前に突きだす。


(君の厄介なところはその魔力の高さでは無い!君に不利益が出る時に起こる人格の変化だ!)

キッソスは愛花が放ち、霧散させた魔力だけをかき集める。

(ギースとの戦いとオーティエの戦いを研究して分かった!その状態の君は無敵に等しく、唯一2つの弱点しか通さない。1つは理の外へ出ること、しかしこれは四凶オーティエレベルでなんとかという、まず無理と思っていいだろう。そしてもう1つ!)

ニヤリとキッソスは笑い、そして誰にも聞こえない声でぽつりと洩らす。

「君自身の魔力には一切の反応が出来ない。・・・だから僕が君を殺しに来た。僕でないと勝てないのだからね。」



「ダリル様。リビ(あの女)の言う通りの争いが起こっております。こちらの布陣が筒抜けの証拠、内通者が居るかもしれません。警戒を。」

「ふむ・・・。昨日のはやはり()()()()か・・・。」

ダリルは1人頷く。

「今からでも布陣の変更を・・・。」

「要らぬ。敵の思考すら全て踏み越えさせよ。乗り越えさせることに意味がある。」

「・・・?」



「・・・・・・これは、決して己に負けた訳じゃない。」

怜奈の力が高まる。


(・・・わた・・・しが・・・私が・・・やらなきゃ・・・。)

愛花の意思が高まる。


そして2人の手は、伸ばされた。

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