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愛の歌  作者: Dust
4章
75/229

73話

誰よりも先を駆け抜ける。

「速いっすよ!バスター組がっ!付いてこれてないっす!あれじゃあキャノン組っす!」

「・・・ふっ!」

更に加速していく。

「くっ・・・俺たちじゃ力不足だって言うのか!」

シュヘルが徐々に開いていくその差を見ながら歯ぎしりをする。

「というかあれ・・・私たちすら撒こうとしてないっすか?」

舜は音もなく滑り込み物陰に隠れる。

(思いの外シュヘルが優秀だな。撒く前に敵と出会っちまった。・・・ならまあ利用しますか。)


物陰に隠れた舜はジェスチャーで少し離れた2人に隠れるよう命じる。

「何する気だ?」

「お、デバイスに連絡来たっす。」

「お前いつの間に連絡先交換してたのかよ。」

ムルシーへ。タイミングを見て仕掛けて。

タイミングは俺が作る。以上。

「・・・ですって。」

「何する気・・・おい、あいつ1人で突っ込・・・むぐ!?」

「静かにしててくださいっす。場所バレたらダメっすこれ。・・・・・・。」

ムルシーは真っ直ぐ戦場を凝視する。


舜は1人が反対方向を向いた瞬間に、その1人の首を斬り落とす。

(9人・・・。)

人数を確認すると共にまずは真っ直ぐ突っ切り、集団の真ん中へ。

先陣なだけあり、アウナリト軍は1人殺られた事に対しアクションすらせず舜を殺すべく動く。

(速い・・・もう1人ぐらい・・・)

深く深く集中へ。

どの剣撃が魔力がこもっていないか。

(・・・今!)

魔力を左手に込めて。

1つの剣を掴み、思いっきり引っ張りながら足を浮かせる。

回り込むような形で他の攻撃を避けつつ、右手の剣で首を掻っ切る。


(・・・さて。)

1度、魔力で剣を防いでしまった以上。

魔力を込めた攻撃しかして来なくなる。

剣を避け、止めながら。

魔弾を掻い潜りながら、時折剣や腕で弾き。

舜はある方向へ走り抜けていく。

「・・・!」

ムルシーは更に集中を高める。

緊張も共に高まる。

舜を追いかける敵襲の側面を狙えるその時を。

舜が通り過ぎる。

更に追う3人が通り過ぎる。


(・・・今っす!)

めいいっぱい伸ばした両腕の両の手の刃を全体重がかかるように、確実に殺せるように倒れ込みながら2人の首に刺した。

「あいたっ!」

勢いを消す事も出来ず、そのままムルシーは地面に衝突する。

(ミスった!でもこれで混乱させられ・・・。)

目の前にあったのは刃であった。

(・・・あ、死ぬ。・・・。)

顔に血が飛び散る。

目の前にあった刃は腕ごと落ちていた。


「・・・っ!戻ってきたぞ!」

「落ち着け!2人とも同じ位置にい・・・!ギャッ!」

その間に背後に回っていたシュヘルが1人殺す。

「相手は3人だ!人数はこちらが・・・!」

「「「バスターズ参上!」」」

ようやく追い付いた、舜にモブ扱いされた3人がちょうど到着する。

人数の差が無くなり、混乱した敵にもう打つ手はなく。

「・・・よし、敵の1部隊を被害無しで撃破!」

バスターズって気に入ったのか・・・と呟きながらも舜はまだ立ち上がれてないムルシーに手を差し出す。


「大丈夫?」

「・・・・・・っ。駄目かもしれないっす・・・。」

ムルシーは手を取りながら目線を逸らす。

返り血を必死に落として髪型を少しでもとセットしようとして・・・。

「駄目って・・・怪我でもした?大丈夫?」

「なんすか?クソボケ属性持ちっすか?」

舜はクソボケ・・・?と首を傾げながらも辺りを警戒している。

(いやでもこれ・・・この反応なら最初に抱いた人が勝ち取れそうっすよね?・・・作るか!既成事実!)

「・・・うおっと、悪寒がした。何だ・・・?」

舜は更に辺りを警戒した。



「・・・全軍、止まれ。」

「はっ!」

怜奈はアウナリト軍と相対して指示を出す。

「久しぶりです、怜奈様。」

「・・・マキナ。・・・手っ取り早く行こう。・・・死ぬか退くか選んで。」

マキナは背後の味方に手を出さない事と下がるよう命ずる。

「貴女を、殺させていただきます。」

「・・・・・・そう。」

怜奈の視線は冷たく刺さる。



「えっと・・・えっと・・・!」

争いが始まった各地に援護として魔弾をとりあえず放ちながら、どう動くべきか愛花は悩む。

(舜兄ならどう動く・・・?落ち着け私、私も舜兄と守りあえるよう強くなる為に・・・!)

愛花は戦況をしっかり見極めようとする。

「・・・!」

各地で弾けた魔力が消えないまま1つの元へ集まる。

(この能力は・・・それより近い・・・!)

「みんな下がっ・・・!」

集まった魔力が球体として上空に何個も現れ。

そこから地に向かって放たれ、爆発した。


「見事だよ、愛花君。流石美しい魔力のコントロールだ。全てしっかりと撃ち抜いてくるとは。」

砂煙が消え、愛花の連れていた部隊はみな無傷のままであった。

愛花は話しかけてきた人影をしっかり見据えながら、下がるようジェスチャーする。

「でもお陰で先程弾け飛んだ魔力もまた僕の手元だ。君の美しい力を、更に僕が美しく使ってあげよう!」

「・・・キッソス。」

愛花は覚悟を決め直し、倒すべき相手と相対した。

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