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愛の歌  作者: Dust
4章
69/185

67話

「・・・それがどういう意味がお分かりですね?」

「ああ、僕はもう決めた。」

風が吹く。デイムの周りに魔力と共に。

「・・・臨む兵よ。」

デイムの持つレイピアの周りに2つ、小さな魔法陣が現れる。

「・・・退るぞ。」

本気のデイムを確認し、1人の男が指揮を執る。

「・・・分かっていますね。この国にはもういれないという事を。」

「ああ・・・済まない。」

男は振り返らず、他の者と去った。


「え・・・えっと。」

1人、残されたナキムが辺りを見回す。

「どうした?さっさと戻らないと命令違反を食らうぞ。」

「いや・・・その・・・えっと。お・・・俺もついて行くっす!」

デイムは冷たい目でナキムを見る。

「・・・臨む兵よ。・・・闘う者よ。」

レイピアを取り出し、4つの文字が回りに浮かぶ。

「ハッ!」

突き出されたレイピアは、グルグル回る文字が魔力となりて解き放たれる。

その魔力はナキムの目の前で止まったが・・・ナキムは尻もちを付いていた。


「実力不足だ。帰って鍛錬を繰り返すように。」

背を向け、デイムは言い放つ。

「で、でも!」

「・・・もっと実力をつけて、僕の跡を継げ。僕がいなくなる代わりが必要だ。それをお前に託す。」

ナキムは暫く黙り込み、そして立ち上がって言った。

「絶対に強くなるっす。だから・・・死なないでください。お世話になったっす!」

走り去るその背をデイムは見送ることもせず。

完全にビャフーストから去る道を選んだ。


「ターガレス兄貴!本当にアウナリトに攻めに行くんですかい!?」

ターガレスの元に無能力者達がどんどん集まっていく。

「あ、ああ。」

ターガレスは胸をドンと叩きながら冷や汗をダラダラとかいていた。

(思ったより大事になった・・・いやどうする。俺がついて行ってなにか出来んの!?武器も作れない、魔弾もイマイチなのに俺が!?いやいやいやいや1度言い出した事をねじ曲げるのは・・・やっぱ怖い!)

後悔も酷くしていた。


「兄貴!せめて使えそうなものはなんでも持って行ってください!陰ながら応援しとりやす!」

「あ、それなら俺も見ていい?一緒に戦うしお互いに守れそうなものは持っとくべきだから。」

舜はターガレスと共にアジトへと入っていく。

「な、なあ。怖くないのか?」

小声でターガレスは舜に聞く。

「・・・正直、怖いよ。仲間を失う可能性があるのが。」

「・・・そうか。」

それを聞いてターガレスは心を決めた。

ここまでしてくれたデイムの為に身体を張ろうと。

友としての道を別れ、お互い1人だった。それがまた仲間に戻れたのであれば。

それを失いたくないと。


「・・・ん。じゃあこれは貰っていくね。対価はここに置いとくよ。」

「ん?対価なんか・・・うぎゃ!?おいみんな来てくれ!」

ざわざわと無能力者達がざわめく中、舜は早く行こうかとターガレスに合図する。

「何を置いたんだ?」

「金。諸事情で結構持ち合わせがあったからほんの1部、暫く税とかなんやら払えるように。・・・根本的な解決にはならないだろうけど。」

ターガレスは何度も振り返りながら歩く。

「・・・置いていくの、不安?」

「ああ、戻れるかも分からんしな。」

ふと妙案が思い付いたような顔で舜は言う。

「なら、アウナリト攻め込んだ後アウナリトに招待しちゃうか。」

「攻め込むって・・・その規模なのか!?」


そうだよと舜は目線鋭くターガレスを見る。

「義兄上・・・現王から殺し合いのお誘いがあったんだ。勝てば王が変わる。そのレベルの戦争だよ。」

「か・・・勝ち目は!?勝ち目はあるんだよな!?」

舜は笑いながら手でちょっと、とポーズをとる。

「そのレベルなの!?降りていいか!?俺降りていいか!?」

「デイムは戦力になるので参戦理由になるお前は抜けちゃダメでーす。」

「戦力って・・・この外道!!デイム巻き込みやがったな!!」

戦いの最中、舜がデイムと話してたのを思い出しながらターガレスは叫ぶ。

「残念ながらもう取り返し付かないぞ☆」

そんな話をしながらみんなの元へ戻る。


「あ、おかえりなさい。使えそうな物ありましたか?」

「ふっふっふ!これ!」

横でターガレスがデイムに済まないと謝ってる横で、愛花にいくつか物色したものを出して見せる。

「スプレー缶にマッチと・・・パーティ用ドッキリグッズ?」

「口に入れといて噛むと血を吐いたみたいに見せられるらしい。」

説明を改めて読みながらふんすと舜は鼻を鳴らす。

「・・・私たちに使わないでくださいね?最近の舜兄だとシャレにならないので。」

「うん、愛花に悲しい顔させたくないしね。」

ふと思ったことを口にして、舜はハッと顔が熱くなるのを感じていた。

愛花の顔を見れることもなく、さーて行きますか!と伸びをして。

舜達はビャフーストをあとにした。

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