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愛の歌  作者: Dust
3章
51/230

49話

「・・・何?その荷物?」

大きな荷車を拝借し、大量に荷物を置く愛花。

「託されたものですよ。主にお金ですが。あと本も結構。舜兄が興味持ちそうなのも持ってきてますよ。」

「・・・え?」

袋をひとつ開けてみる。

それだけでもかなりの量の金額が入っていた。

「持っていくにしても・・・多くない?」

「どうせ誰かに荒らされるぐらいならって手紙に・・・。」

ふむんと考える。確かに託されたのなら持っていきたい。


「・・・とりあえず運ぶのは大丈夫。・・・ね、咲希。」

「トレーニングの一環って事だな。よし!」

やる気満々の咲希を見て怜奈は頷き、

「・・・じゃあ、みんな荷台に乗って。」

「え゛?」

荷台に乗り込んだ。

「じゃあとりあえずここで保管方法話し合うか!」

舜も乗り込み、次々とみんなが乗り込む。

「・・・それでは、このトレーニングでの利点を後で5個答えて。・・・走って!(ピッ!)」

「このぉぉぉぉぉ!!!!」

定期的に休憩を挟みながら、リエーへと向かった。


海岸線沿いにある小さな都市・リエー

魔力者が存在する前は貿易により栄えていたが、10年前よりばたりとその動きが止まっている。

(その間、何をして暮らしてきてたんだろう。どうやって魔力者から身を守ってきたんだろう。)

改めて自身の無知さを思いながら、愛花がリライエンスから持ってきた本を読む。


「つい・・・た・・・ぞ・・・。」

息を切らしながら咲希が言う。

辺りは静まり返り、波の音だけが聞こえてくる。

「・・・人、もう住んでないのかな?」

舜はぴょんと荷台から飛び降りる。

とはいえわざわざ情報屋が出してきた情報、何かある可能性は高い。

警戒をしながら歩き回る。


「・・・誰か来る。」

しばらくみんなで右往左往してると、どこからか足音が聞こえてきた。

「待って!顔!顔見せて!」

緑髪の少女が走りながら立ち塞がるように現れ。

「ヒッ!?」

愛花の顔を見た途端、慌てて逃げようとした。私?と愛花は訝しがる。

「待て待て。」

舜はその腕を掴んだ。


「離して!」

半狂乱になりながら少女は必死に振りほどこうとする。

「敵対しないって・・・多分。」

「アイツらの仲間なんでしょ!?何もしないから!見逃して!離して!・・・あれ?」

ピタリと動きが止まる。

「・・・もしかして、違う?」

「とりあえず全部説明してもらっていいか?」

「あ、うん。いや!そろそろアイツら帰って来ちゃうから!とりあえず着いてきて!」

忙しなく走り出す。無能力者なのだろうか、足はそこまで早くない。荷車を引きながら追った。


「・・・つまり、トワはあんまり詳しくないと。」

彼女の隠れ家で軽い自己紹介を終え、少女・トワから話を聞く。

「私もクロムから何とか逃げてここに来てばっかりだし。」

あの時、あそこら辺に住んでいた子かと舜は少し申し訳なくなる。

「でもアイツらみんな目が赤紫なの。あと妙に声もくぐもってて、襲いかかってくる。そして、月が出るとどこからか現れて何かの銅像の前に集まる。・・・知ってるのはそのぐらい。」


実験に繋がりそうな内容はまだ見えない。

「とりあえず・・・夜にその銅像とやら見てみるか。」

「危ないよ、逃げようよ。強いんでしょ?私連れてさ。・・・ね?助けてよ。」

「調べるべき事が終わったら、ね。」

ガッカリしてるトワを他所に、舜は窓から外を見る。

日はもうすぐ暮れようとしていた―

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