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愛の歌  作者: Dust
2章
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48話

「漣!下がれ!」

漣が対応してるのは見知った顔の2人だった。

「え?ひゃっ!?」

殺意だけを胸に、剣を突き出す。

そしてその剣が女の首に当たるかどうかのところで―

剣を消した。

その直前までは確実に殺すつもりだった。

そしてそれは、その相手の女も分かっているはずだったから―。

「・・・リビ、リーグ。・・・何の用だ。」


「・・・・・・・・・。」

机を挟んで舜と2人が対面する。

少し離れたところで愛花が様子を眺めており、そのすぐ後ろに怯えた様子の漣が隠れるようにいた。

「どうやってここを?」

「情報屋のエリさんから。・・・時期まで指定されたよ。」

いつものおふざけモードではなく、淡々とリビは答える。

「・・・・・・あいつ・・・か。・・・。」

舜の睨むような目は動かない。


「簡潔に内容だけ話そうか。アウナリトは"実験"に関わっていた。」

「・・・どういう風に?国全体でか?」

「元々マキナが調べてたラース王の件についてからだったんだけどね。マキナがある重大な事を知ってから調べるのをやめちゃったんだけど。ずっとそのことを考えてたからあーしにも詳細が分かってね。」

続きを促すように舜はリビの目を見る。

「ラース王が実験の首謀者の1人、だったと。」


その言葉と同時に何かが舜の心の奥底から叫んだ気がした。

その言葉は怒りに変わり、復讐へと強迫観念のように広がっていく。

だが、その前に確認しなければいけないことがある。

「1人って事は・・・いるんだな?他にも。」

淡々と吐かれたその言葉に、後ろにいた漣は思わず愛花の袖をぎゅっと握る。

「恐らく、ね。マキナが能力者が関わってないと無理だって結論を何度も出しては否定しようとしてたから。」

「候補は?」

「そこまでは、何も。」


舜は思考に耽けるため目を閉じたが、

「・・・それともう1つ。」

その声に再び刺すような視線を向ける。

「こっちは情報屋から。真実を調べたければまずリエーへ向かえ、だと。」

「リエー・・・。」

海岸沿いにある小さな都市、リエー。

リライエンスから近くもある場所でもあった。

「リエーも関わってるのか?」

「そこまでは、何も。・・・番号持ってるのなら本人に確認してみたら?対価があれば教えてくれると思うよ。」


この情報がどこまで合ってるのかすら判断材料がない。

それでも、リエーに行く価値はある。

(いや、行かなくてはいけない。)

自身の記憶にも繋がるかもしれない。そう結論づけた舜は更に思考を纏めるべく考える。

「リエーに行くんだね。じゃあ、アドバイス。『神は人の手によってその存在を強め、人の手によって悪魔に堕ちる』。」

「・・・何の話だ?」

「頭の片隅に覚えておいて。だいたいは勝者側の手によって変えられるものだから。」


さて、とリビは立ち上がる。

「じゃあ、本当は愛花と怜奈とも話したかったんだけどね。そんな空気じゃないし、特に私たちの後ろの子の殺意が。」

リーグの姿が消え、ワープゾーンが生み出される。

「そういえばそんな能力だったな。分身だから喋らな・・・いや?」

会った時は話したはず、と記憶を遡らせる。

「向こうで見て聞いてはいるよ。・・・多分。分身相手だと読めないのよね。」

それじゃ、と手を振り何か紙を分かりやすく落として、リビは消えた。


「次の目的地が決まりましたね。」

「うん、雪乃。・・・ん?」

自分の後ろに愛花と漣がいて、正面にリビとリーグの分身が居て。

(どこで話聞いてたんだろ・・・?)

そう思いながら紙を拾う。電話番号が書いてあった。

「・・・さて、どうするかな。」

間違いなく何かあるのだろう。

1人でなら何があっても問題は無い。

しかし、過去に目の前で起きた仲間の死が重たくのしかかる。


「難しい顔してますね?」

悩んでいると愛花が隣に来て、ニヤリと笑いながら見上げる。

その表情が大人っぽく見えた。

「クロムとやり合う前にあった悩みと同じ悩みですか?」

「・・・ああ。」

「ふふ、やっぱり優しいんですね。このこの〜。」

彼女の表情がいつもより大人っぽく見えた理由が分かった気がした。


「別にそんなんじゃないよ。」

明るく振舞って暗い雰囲気を吹っ飛ばした彼女の気遣いに、自然と舜の表情も緩む。

「それで、どうするの?」

「もちろんついて行きますよ。舜兄が私たちを仲間と思って大事にしてくれてるように、私たちだって舜兄が仲間なんですから。」

ふんすふんすと雪乃も頷く。


「・・・漣はどうする?辛いこと沢山あったし、これからも防げない事態は起きると思う。」

「あ・・・うん。」

漣は目線を下に逸らす。

「周りがどうだからとか関係なく、素直にどうしたいか教えて欲しい。・・・整理がついてないかもだけどさ。」

「・・・行く。みんなとの方が出来ることも多いし何より・・・。」

漣はふわっと笑う。

「舜くんのオムライス、また食べたいなって。」

「決め手オムライス?ふふ、あははは!」

今ではもう、さっきまでの鬼気迫る怖さは無く。

4人の笑い声が綺麗になった部屋でこだましていた。

漣「漣ちゃんだよ!」

雪「雪乃です。」

漣「不定期あとがき茶番のコーナー!」

雪「今回のお題は?」

漣「ない!!!!!」

雪「無いんだ・・・。」

漣「それではまた次回!」

雪「ほんとに無いんだ・・・。見てくれたら嬉しいな。」

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