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愛の歌  作者: Dust
1章
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4話 それぞれの実力

舜は剣を振っていた。

前日、4人目の仲間が増えいよいよ隊長としての自覚というものが求められ始めている。

あまり危ない鍛錬は良くないなと改めての事だった。

剣を出し続けるのも楽ではない。魔力を消費し続けるからだ。

それに掌の皮は擦れ、柄の部分に血が滲み始めていた。


(・・・だんだん利き手に頼るような素振りになり始めてしまってるな。)

焦りもある。不安がどうしても拭えない。

ひたすらに武器を振った。いたずらに時が経った。

「・・・はぁ。駄目だ。」

こういう時は何をしてもよくないと頭を搔く。

変な癖がつく前にやめるべきだろう。

時計を見る。思ったより時は過ぎていた。

と言っても特に予定とか決めてるわけでもない。

ひとまず部屋に戻りシャワーを浴びるのであった。


部屋を出て大部屋に行くとイパノヴァと1人の知らない少女がいた。

小柄でパンをモッモッと食べている黄色の髪で青い瞳の少女だ。

「おはよう。あと・・・はじめまして?」

(おはよう!)

相変わらず、聞こえないのに聞こえる声。

イパノヴァは茶髪の髪に白のシュシュをつけたポニーテールをしていた。

(部屋、ありがとう!)

ニコニコとイパノヴァは笑う。


簡単に集まれる方がいいと全員で話し合った結果、それぞれに部屋を貸し与えていた。

「・・・えっと、その子は?」

2本目のパンをモッモッと食べ始めた少女に目を向ける。

よく食べるのに痩せている。

(オーフェって言うんだけど・・・。)

少しもじもじとし始めるイパノヴァ。

(5人目、決まってないならどうかなぁって。)

要するに推薦をしに来たと舜はひとまずメガネを外す。


少しは曲がっているものの不快な曲がり方ではない。

舜の眼(曲がり方)という第1関門は突破と言ってもいいだろう。

「オーフェの話を聞かせて。」

第一印象をよくとにこやかに話しかける。

「僕は今 (モッモッ)食べるのに (モッモッ) 忙しいんだ(モッモッ)」

「・・・うん、そっか。・・・そっかぁ。」

食べ終わるのを待つかと眺める。

オーフェはモッモッと2本目を食べ終えた。

そしてどこからか3本目を取り出した。


(ごめんなさい、その子食べるのが大事で・・・。)

その間に耐えられなくなったイパノヴァは困ったように笑いながら話しかけてくる。

「えっと、イパノヴァ。オーフェってどんな子?能力とか、性格とか。」

(・・・・・・その子の能力は・・・)

「やめろ!」

オーフェは突然話をさえぎった。

(隊長になるかもしれない人でも駄目?)

「駄目だ (モッモッ)僕の能力を (モッモッ)知られると (モッモッ) 危険だ(モッモッ)」

舜はただ呆然と目をぱちくりする。


(あ、ごめんなさい。悪い子じゃ無いんだけど・・・。それだけ特殊な能力なの。気を悪くしないで?)

気遣うような表情を見せるイパノヴァに、舜はまず気になっていたことを確認した。

「イパノヴァは特定の人としか話せないって言ってたけど・・・オーフェとは話せるって事でいいんだよね?」

(うん!だからこそ推薦したの。私情で申し訳ないけれどコミュニケーションが取れないと困るし・・・。)

前日愛花と怜奈も声は聞こえるというのは確認していた。

となると5人目が彼女になればイパノヴァとの連携の問題が無くなる。

「まあ愛花とれい・・・ぴゃあ!」


急に目の前が暗くなったのと冷たい感触が目に触れたのに対して思わず舜は声をあげる。

「だーれだ!」

「・・・だーれだ。」

元気な愛花の声と少し遅れて怜奈の声が聞こえる。

「ちょうど良かった、5人目の仲間の相談をしたいんだけど。」

「何事も無かったかのように進めないでください。ぴゃあ!ってなんですかぴゃあ!って。」

「なんだっていいだろ。」

「・・・ぴゃあ。」

怜奈にまで煽られ、舜は照れ隠しに頭を搔く。

(可愛かったよ!)

「・・・いいから!5人目の話!」

「いいですよ、オーフェちゃんで。なんか個性的な隊になりましたねぇ。」

しみじみと呟きながら愛花は頷く。

「そうだな、特に愛花ってやつが変人で面白いな。」

「え!?そんな可愛らしくて強くて天才な完璧少女がいるんですか!?」

「飲み物入れるぞー。」

「無視しないでくださいよ!?」

(あ、5人揃ったお祝いとして後でみんなで記念写真撮ろうね!)

そんなこんなで雑談したり写真を撮ったりで時間が過ぎて行った。


午後3時すぎ。

昼を食べ、ある程度雑談をした後それぞれの実力を確かめるために訓練所へ出ていた。

いくつかある機材の中でいくつもの的が光る施設へ愛花が先導する。

先端に赤く光る棒状の的。これはこの赤い部分を狙撃しないと倒れない。

青い的は青い部分に数発当てないと倒れない。

魔道具・・・魔力がある素材であるからこそそういう風に出来ている的だ。


「愛花、行きまーす!」

愛花が先陣を切ろうと前に出ると、それを見た周りの人が何故か下がり始める。

「・・・?」

その異様な光景に思わず舜は辺りを見渡す。

「見逃さないでくださいねっ!」

その声に目線を戻した瞬間だった。

辺りからピカピカと魔力が飛び始める。

それは数百を超える魔弾だった。


「はっ!!!」

その声と共にその魔弾は綺麗にまるで空に絵を描くかのように。

同じタイミングでバラバラの方向から赤的の赤い部分を正確に攻撃する魔弾もあれば、タイミングをずらしながら連続で青的の青い部分にこれまた見事に当てる魔弾もある。芸術的な技術だった。

周りが下がったのをいい事に一気に他の人用の的をも狙撃する。

合計で20の的は倒れただろうか。的を倒した後の魔力はまだ宙を行ったりきたりと動き回っている。


「まだまだっ!」

次の瞬間、倒れた全ての的の下が光る。

そしてその光から魔力が一斉に噴射された。

高く宙に浮いた的へ向かって、動き回っていた魔力が次々と襲いかかる。

全ての的は粉砕され、跡形もなく消え去っていた。


【ピーンポーンパーンポーン】

訓練所に突如放送が流れ始める。

「また壊したなぁ〜愛花!あーしが管理担当の時はやらかさないで欲しいんですけどーq(`Д´●)」

「ごめ~んリビ、でもほら舜兄に実力知りたい言われちゃったから!」

「つまり舜ちゃんが悪いと~。ん〜舜ちゃんのことちーっと気に入ってたし~舜ちゃんの事は今回ゎ~許さん( ゜д゜)クワッ」

「いやいやいやいや待て待て待て待て。」

「いーわけはより許さんよー!はんせーぶんだぁー!」

「よし、私は許されそう!」

愛花はガッツポーズを小さくする。

「んにゃ、許さんにょ?愛花もはんせーぶんね。そんじゃまたねー。ぴーんぽーんぱーんぽーん⤵︎ ︎」

「・・・放送終わりの音は口でやるんだな。」

舜は文句ありげな目で愛花を見ながらリビに突っ込んだ。


「・・・えーとごめんね☆(ฅ• . •ฅ)」

「可愛い顔しても駄目だしリビの真似で顔文字やるんじゃねぇよ!」

「メタい!」

わちゃわちゃやってる2人の喧嘩を他所に怜奈が舜の服をクイックイッと引っ張った。

「ん?どうした?」

「・・・私の番。・・・実力、隊長と模擬戦がいい。」

「そうだね、そうすれば俺の実力も同時にやれるし・・・でもお手柔らかに頼むよ。あと愛花には俺からも反省文を要求致します。」

「横暴だー!」


訓練所の一室、円型のラインがいくつか書いてある部屋。

1つの円の真ん中に2人は立つ。

「・・・ルール、円は出ない、致命傷にならないようする。・・・以上でいい?」

「ああ。じゃ、準備はいい?」

2人は見合う。

対人戦・・・1人じゃ出来ない鍛錬になると少し舜は楽しんでいる節があった。

「それじゃあバトル開始の宣言を頼むよ愛花!」


「決闘開始ぃ!」

愛花の掛け声と共に2人は後ろに飛び距離を取る。

(学校での成績が歴代トップってことはオールマイティに戦えるし苦手は無いと見るとして・・・。まずは防御を固くして様子見・・・)

舜が戦法を考えてるその時だった。

目の前から怜奈が消えた。

(消えたっ・・・なら来る攻撃は。)

ほんの一瞬、もし自分があの体格で、あの速さで動けて自分の体格と戦うとしたならば、どこからどういう風にどう攻撃するかを考えて舜は首から上を腕で守り、その腕に魔力を込める。

その考えとおり、舜の真横から後ろへ向かう勢いと共に怜奈の鋭い蹴りがその腕に当たる。


「・・・っ!」

右腕が痛みと共に痺れていた。しばらく使い物になりそうにない。

(速い相手なら・・・隙を狙われるか誘われるかのどちらかが怖い・・・。それに今の蹴りの鋭さ、もしクリーンヒットしてたら・・・。)

「・・・朧月夜。」

目の前が霞む。

(能力・・・じゃねぇ!これ属性か!)


属性とは1部の魔力者がその魔力を使う時に炎や氷といった特殊なものに変えられることを指す。

怜奈はその属性のある魔力を扱ったのだ。

(視界をボヤけさせた。無闇に攻撃を仕掛ければ向こうの狙い通りだけど・・・模擬戦だし、どう対応するか見せてもらおうじゃん!)

「ぬぉら!」

舜は前に左腕から体当たりのように突き進む。

「・・・そう来ると思ってた。」

その左肘に何かが触れる。そして頭の両側にも次に何かが締め付け・・・浮遊感の後激痛が走った。

地面に叩きつけられたという確信は激痛の少し後に遅れてやってきた。

そしてその叩きつけ方の想像も遅れてやってくる。


(あれ?今の状況って・・・)

目の前は暗く、体は横を向いている。

怜奈が力を抜いた今、締め付けられ痛かったその当たっているものは多少の柔らかさがあった。

今前が暗いのは・・・。

(太ももで頭を挟まれたなら・・・前にあるのは・・・っ!?)

「怜奈ちゃん!離れて!離れて!ピピー!」

愛花の声で怜奈が離れ、立ち上がる。

「・・・大丈夫?」

舜は横になったそのままの状態でこっそりと上にある方の足である右足を前に出す。

その後も立ち上がろうとしない舜に怜奈が声をかける。

「・・・大丈夫?」

「・・・もうちょっと落ち着いてから立つから心配しないで。」

舜はしばらくその状態から動けなかった。

愛「こんにちは、1話空いたキャラが喋るコーナーだよ!」

イ(今日は私、イパノヴァもいるよ!)

愛「主人公なのに初戦闘負けちゃいましたね。まあ怜奈ちゃんの初撃を初見で防いでるのって実は凄い設定があったりしますけど。」

イ(たってるからたてなかっただけで続けようと思ったら続けられそうだったけどね。)

愛「・・・っ、ちょっ!作内で敢えてぼかしてるのに!というかキャラ崩壊するって!」

イ(愛花赤面してて可愛い!後ここはむしろキャラ崩壊しろの精神でやるべきコーナーだからね!)

愛「えーと・・・読者に注意です。ここでの性格や発言は作内と全く共通してません・・・。なんでこんな連絡しないといけないの・・・。」

イ(それじゃあまた次回♪今度も早く更新されて早く会えるといいね!)

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