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愛の歌  作者: Dust
2章
49/229

47話

「・・・何の用だ?」

豪華絢爛たる椅子に座る巨大な男。

その前に着物の男が葉巻を吸いながら下駄の音をさせて歩み寄る。

「・・・Y9!ロジク!」

自身の質問に答えないと見るや巨大な男が暗闇に呼びかける。

天井から飛び降りてきた女・Y9は来訪者を見るや笑みを浮かべ手を振り、影から出てきた背の低い男・ロジクは面倒くさそうにしながら宙に浮いた機械を弄り続けていた。


「クロムとオーティエが死んだ。残る四凶は俺と、お前だオウコツ。」

まるで全員揃うのを待ってたかのようなタイミングで葉巻片手に煙を吐き、着物の男が言う。

「え!?カオスたん今の話ホント!?あのクロムたんが!?」

オウコツが返事をするより先にY9が声を上げる。

「・・・で、この俺に何をしろと?」

オウコツが話を仕切り直す。

「協力しろ。」

「お得意の''人類の為"か?」

分かってるじゃないかとカオスは頷く。


ガンと音が鳴る。

オウコツは両手に斧を出し、椅子に叩きつけながら立ち上がった音。

「クロムがいねぇ今、貴様如きがこの俺に指図出来ると思うなよ。」

「悪ぃな、どうしてもお前の力が必要なんでね。手伝う気がないのなら―」

「だからよォ!戦いを人任せにする軍師様の貴様が俺に勝てる要素がねぇだろうが!」

睨み付けながらオウコツはカオスに近付く。

「インロン!」


呼び声に応じ、ドンと音とともにどこからか男が現れた。

「・・・こいつか?・・・あまり興は乗じぬが。」

「あ゛あ゛?」

キレたオウコツが飛びかかり―振り上げたその斧が、腕と共に落ちた。

「・・・カオス。」

「ああ、助かるインロン。」

下駄をカンカンと鳴らしながら、痛みに悶えながら尻もちを付いてるオウコツに近付く。

「待て!待ってくれ!俺はただこのまま平和に暮らしたいだけだ!分かった!協力する!協力するから―」

「もう遅せぇよ。」

何かが、オウコツの胸を貫き―そして動かなくなった。


「ああ、強者の匂いだ。カオス、もう1人と戦わせてくれ。」

「僕なら相手をするつもりは無いぞ。」

ロジクが先に答える。

「違う、貴様では無い。」

ピクっとロジクの眉が動く。

「ん?Y9ちゃんの事?んー・・・カオスたんと敵対するつもりは無いんだけど・・・どうしよっか。」

「インロン、Y9は貴重な戦力だ。・・・それに前言ったようにお前が満足する相手と必ず合わせてやる。―全てが終わったらそいつと幾らでも、だ。」

カオスは再び葉巻を咥える。

「必ずだ。そしてそいつの次はお前にも付き合ってもらうぞ。」







「あいてててて。」

舜がふうと息を吐く。

「休んでていいんですよ、舜兄。ただでさえボロボロだったんですから。」

「愛花に治して貰ったからへーきへーき。それに俺が言い出した事だし。」

舜達は使わせて貰ってた宿の掃除をしていた。

たとえもう誰も使うことが無いとしても、せめてもの礼として。


「前も言ったと思うんですけど、止血しただけですからね?痛みは残るし、なんなら身体の内部までは面倒見きれてないですよ。」

グランの攻撃で、かつてクロムとの戦いで受けた痛みも悪化していた。

それでも、思いは止められず―せっせと掃除をする。

「・・・私もなにか手伝えるかな?」

「漣ちゃんも休んでていいんですよー。傷口塞がってないんだし。」

先の戦いで傷を負ったものがもう1人。

漣はその身が死を覚悟する直前まで、操られた子供を呼び戻そうとして傷を負っていた。

塞ぎ込んでいた間適切な処置をしていなかった事もあり、後から慌てて包帯などを巻いたがあまり顔色は良くない。


(・・・あれ?)

一瞬、舜の頭になにかの疑問が過ぎり。

その疑問が何だったかを忘れた。

「舜兄?痛むんですか?」

「あ、いや。なんでもないよ。」

忘れたと言うことはどうでもいいことだろうと、掃除を続けた。


そんな折、チャイムの音が鳴る。

「あ、私出てくるよ!」

漣がせめてこれくらいはと立ち上がる。

「・・・・・・なあ、誰か外出てたか?」

「え?咲希ちゃんと怜奈ちゃんが鍛錬してるけど・・・鍵はある・・・・・・。・・・舜兄。」

2人は漣の後を追った。

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