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愛の歌  作者: Dust
2章
44/229

42話

「くっ・・・!」

舜は打ち合った衝撃で体勢を崩さないように後ろにステップする。

(威力が増してきた・・・意思が無くなって来てるって事か・・・。)

背後に左手で何かを起きながら真っ直ぐグランを見る。

グランは大剣を地面に強く叩きつけ、浮き上がった大小様々な石を舜目掛けて大剣の側面で打ち付けた。

舜は視界の邪魔になる石だけを左手で払い除けながら視線を逸らさない。

(来る・・・!)

距離を一気に詰めてきたグランに合わせて後ろに飛び退きながら、先程左手で背後に置いた魔法陣を魔力を込め真っ直ぐ蹴り穿ち、更に後方へ跳ぶ。

魔法陣はその円が一瞬広がり、収縮すると同時に細いビームとなって放たれた。

「グヌゥ・・・!」

思わぬ攻撃をグランは大剣で防ぐ。

それをわかっていたかのようにもっと前に後ろ手に置いていた魔法陣を回し蹴りする。

グランの大剣を持つ手目掛けて、人影と共にもう1つのビームは放たれグランの大剣を弾き飛ばした。

それと同時にその人影―舜はグランに一気に詰め寄り袈裟斬りにする。その剣は胴体へ深く入った。

(確実に・・・仕留める・・・!)

倒れゆくグランの首を目掛け舜は剣を横に振るい—




「おっと・・・!結構・・・!苛烈だねぇ・・・!」

怜奈の短剣を交わすようにシャオパオは動く。

「・・・そう。」

怜奈の背後から突如現れた剣が飛んでいき、その剣は確実にシャオパオに命中するかのように見えた。

「おっとっと!そういえば君何も無いところから何本も剣を飛ばせるんだっけ。」

「・・・両目を閉じれば何かを隠す。・・・片目を閉じれば距離感を見謝らせる。・・・タネは割れた。」

シャオパオは月をちらりと見る。

(半分よりちょっと欠けた位でバレちゃいましたか・・・。はてさてあの月が欠けると何があるのやら。とはいえあれだけの魔力、防ぎ切れれば必ず反動が来る。)

シャオパオは両目を閉じる。

「・・・無駄。」

放たれる数本の剣がシャオパオ目掛けて飛んでいく。

「しかしおしゃべりしてくれる気分になったと言うことは何か知りたい情報があるって事かな?」

その剣を弾きながらシャオパオは更に思考する。

(なるほど、弾いた時の弾かれ方と音で大体の位置を特定していたと・・・厄介だねぇ。まあわざわざ1人でいたんだから自信があって当然か。だけどそれ以上に1人だったということは・・・一体どこまで―)

「・・・どこまで知ってる?」

月は有明月の形をしていた。

「奇遇だね。僕も同じことを思ってたよ。それで―仮に答えたら見逃してくれるのかい?」

ふうっと怜奈は息を吐く。

「・・・どうせ殺すだけだから聞くだけ無駄だった。」

怜奈は月の後ろまで跳ぶ。

東雲(ダイティンブラット)

シャオパオに横一線に飛ぶ剣とは別に、上空から大量の矢が襲いかかった。




何故だっけ。

無能力者に拷問まがいの研究をしてる連中がいると聞いて集まった集団。

その中でも飛び抜けて強かった4人—四凶。

カオスのやつは飛び抜けて強いのにも理由があるとかなんとか言ってたけど、実際そうなのかもと思う程差があった。

戦う理由はバラバラで。

何か使命があるかのように戦う者、ただ単に目障りだったのを潰そうとしていた者、自分のやるべき事を模索していた者。

何故—私は戦っていたのだっけ。

正義感?私が?もし地獄があるなら落ちるような女なのに?

とにかく分かっていた事は結局他の手を借りずほんの数人で研究を壊滅させたこと。

そう、私は強い。


(それなのに・・・!)

魔弾の撃ち合いをしているオーティエは既に息が上がっており、身体からもところどころ血が流れていた。

「なんなんだよお前!なんなんだよその羽は!?」

纏魔を発動した愛花の背には魔力で出来た羽があった。

次々と現れ、その1つ1つがまともに受ければ致命傷になる魔弾が文字通り無限に放たれてしまえば如何に四凶のオーティエとはいえ防ぎきれない。

「なんなんだよ纏魔って・・・!クソがっ!」

ついに左腹に命中し、穴の空いた身体から流れる血を抑えながらオーティエは叫ぶ。

まるで私の魔力を超える為だけに存在したかのような—

その思考の次の瞬間に強烈な胸の痛みと共に暗闇が襲いかかる。


(心臓を・・・やられたか・・・)

死にゆくほんの一瞬で頭のモヤが晴れていく。

(そうか・・・纏魔・・・か・・・。)

何故—戦っていたか。こんなクソッタレの世界でそれに似合わない真っ白なあの子を守りたかった。

何故あの子は死ななくちゃ行けなかったのだろう。あの子を殺したのは・・・そうだ・・・。

「私たちはいつ死んでもおかしくなかった。報いを受けてもおかしくなかった。これで死ぬのにも、納得する位には・・・。」

何故—あの子は死ななくちゃいけなかった?

「だけど・・・あの子は違った。それをお前らが殺した・・・!だから私は・・・私は・・・!」

倒れるだけだったはずの身体が持ちこたえた。

「私は理すら超える!操り人形ロス・マルトス・バリアン!!」

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