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愛の歌  作者: Dust
2章
42/185

40話

何者かに呼ばれている気がする。

ああ、行かなくちゃいけない気がする。

私が行かなくちゃいけないんだ。

「・・・嫌な予感はしますがね。」

まるで何かを聞いてたかのようにうんうんと頷いた愛花はよいしょっと立ち上がる。

外に出ようとする手が、震えていた。

ドアノブを掴む前にぎゅっと拳を作る。

もう片方の手で手首を抑える。が、震えは止まらない。

「・・・もしもの時は、きっとあの時みたいに助けてね、舜兄。」

ポツリとつぶやき、ふぅっと息を大きく吐いて。

愛花は外へ飛び出した。



「なんだ!?何が起きてる!?」

咲希が攻撃を交わしながら、相手を殴り飛ばす。

''無能力者''相手なら確実に気絶させられるであろう一撃を受け、それは立ち上がる。

それも1人だけじゃない。何人もが咲希を狙い行進する。

「なんで・・・!」

空が暗くなったあの時から―

「あんたら何をされたんだ・・・!?」

―リライエンスの、全ての人間が敵に回っていた。



「・・・邪魔。」

冷気が辺りを包み込む。

それは彼女の氷のせいだろうか。

それともその厳かな雰囲気のせいか。

「私はあの人を探さないといけないの。見つけないといけないの!!」

既にその服には返り血が付いている。

その足を止めるかのように複数人で立ちはだかる。

(考えるのは後回しと思ってたけど・・・やっぱり単純に操られてるにしては意思がはっきりし過ぎている。)

服とは違い未だ綺麗な髪に付いている髪留めをそっと触る。

(舜さんに報告したら褒められるかな・・・。)

そして彼女は剣を握った。




導かれるようにして愛花は走っていく。

この国に来た時連れられた王城へ。

壁が1部破壊されてるのも構わず通り抜けていく。

次の瞬間、退路が塞がれるように壁が修復されていく。

愛花は人影を見るまでもなく、目をゆっくり瞑り呟く。

「エリンちゃん。」

愛花目掛けて剣を突き出そうとかけるエリン相手に目を瞑ったまま静かに手を前に出す。

「ごめんね・・・。」

倒れたその遺体を直視出来ないまま―感情が追いつかないまま―

愛花は中へと走っていった。




その頃、舜は足を止めていた。

足を止めざるを得なかった。

目の前に立つ男の殺気に。

目の前に立つ男の懇願に。

「・・・グラン。」

「悪いな・・・舜殿・・・。先に・・・俺を優先してもらって・・・。」

「もう一度聞くけど。殺すしか、無いんだな?」

こくりと頷くグランに静かに舜は剣を向ける。

グランもぎこちなく大剣を構える。

必死に操られてるのから逃れようとしているが、しかし彼にはより強力に魔力をかけられているのか―逃れ切ることは出来なかったようだ。

次の瞬間、大剣がその大きさに似合わない速度で動く。

しかし、リーチを見切ってたかのようにスレスレのところまで後ろにステップした舜は大剣が通り過ぎた刹那に切りかかる。

グランはそれを見越してか、大剣を振るった勢いを利用して回し蹴りをする。

その足を踏み台にして縦に回転しながら舜は首を落とそうと剣を振るい・・・

受けようとしたグランの右腕が少しだけ斬れた。

(もっと強く込めなきゃ駄目か・・・。流石に手強いな・・・。)

舜はグランを見つめながら、後ろ手に何かを考えていた。

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